元常陸の守は仲介役の男にこれまで会ったことがない。
屋敷に出入りしていることは知っていたけれど、会ってやるほどの人物ではないと思っていたの。
それが突然現れて、
「直接申し上げたいことがございます」
と言う。
不快に思ったけれど、少将様からのご伝言と聞いて、守は部屋へ上がることを許した。
仲介役は言いにくそうな顔をして守に近寄ると、小声で話しはじめた。
「奥様が姫様のご縁談を進めていらっしゃることはご存じでしょうか。ご独身のなかでは一番年上の姫様でございます。今月中にご結婚ということでお話がまとまっているのですが、お相手の少将様にご忠告した人がいるようなのです。
『あの姫は、元常陸の守様の実のお子ではありませんよ。地方長官の婿におなりになるのなら、実子の姫と結婚して、大切に世話してもらわなくては意味がないのでは』ということを何人にも言われたそうで、少将様は悩んでおられます。
少将様がおっしゃるには、『元常陸の守なら後見役として頼りがいがあるだろうと思って、姫に求婚しはじめたのだ。継娘が屋敷にいるとは知らなかった。私の望みはあくまでも義父からの後見だから、実子の姫との結婚を許してもらえたらうれしい』とのことでございます」
屋敷に出入りしていることは知っていたけれど、会ってやるほどの人物ではないと思っていたの。
それが突然現れて、
「直接申し上げたいことがございます」
と言う。
不快に思ったけれど、少将様からのご伝言と聞いて、守は部屋へ上がることを許した。
仲介役は言いにくそうな顔をして守に近寄ると、小声で話しはじめた。
「奥様が姫様のご縁談を進めていらっしゃることはご存じでしょうか。ご独身のなかでは一番年上の姫様でございます。今月中にご結婚ということでお話がまとまっているのですが、お相手の少将様にご忠告した人がいるようなのです。
『あの姫は、元常陸の守様の実のお子ではありませんよ。地方長官の婿におなりになるのなら、実子の姫と結婚して、大切に世話してもらわなくては意味がないのでは』ということを何人にも言われたそうで、少将様は悩んでおられます。
少将様がおっしゃるには、『元常陸の守なら後見役として頼りがいがあるだろうと思って、姫に求婚しはじめたのだ。継娘が屋敷にいるとは知らなかった。私の望みはあくまでも義父からの後見だから、実子の姫との結婚を許してもらえたらうれしい』とのことでございます」



