「たくさんの求婚者のなかで、少将様が一番人柄がよさそうだ。落ち着いていて品がある。宮様の姫君のお相手としては不満だけれど、現実的に考えれば、これ以上の身分の人がこの家の娘に興味を持つことはないだろう」
少将様からの手紙が届くと、母親はときどき姫君にお返事を書かせている。
継父には詳しくも知らせず、そのまま母親ひとりで姫君の結婚を決めてしまった。
<夫は姫の婿の世話などしないだろうが、私は命をかけて尽くそう。姫の美しさを見れば、きっと婿君も姫を大切にしてくださるはずだ>
少将様と相談して結婚の日取りも決め、新婚夫婦のための家具を準備していく。
同じような遊び道具がふたつ仕上がってくれば、細工の美しい方を姫君のために隠しておく。
劣った方を、
「これはすばらしい出来です」
と言えば、継父である元常陸の守はよく分からないまま、いそいそと自分の娘の部屋に持っていくの。
守の娘はそういう家具や道具に囲まれて、立派な先生から楽器を習っている。
一曲弾けるようになるたびに、守は先生を拝んでよろこぶ。
そして、先生が埋もれるほどのお礼を渡して大騒ぎするの。
しっとりとした夕暮れ時に、娘が派手な曲を先生と合奏すると、守は涙を流して感動する。
多少教養があって、都の上質なものを知っている母親は、夫の親馬鹿ぶりを見苦しいと思う。
一緒になって娘をほめないので、
「自分の連れ子の世話ばかりに熱心になって。この娘だって自分の子だというのに、父親が私だから見下しているのだ」
と守は恨んでいる。
少将様からの手紙が届くと、母親はときどき姫君にお返事を書かせている。
継父には詳しくも知らせず、そのまま母親ひとりで姫君の結婚を決めてしまった。
<夫は姫の婿の世話などしないだろうが、私は命をかけて尽くそう。姫の美しさを見れば、きっと婿君も姫を大切にしてくださるはずだ>
少将様と相談して結婚の日取りも決め、新婚夫婦のための家具を準備していく。
同じような遊び道具がふたつ仕上がってくれば、細工の美しい方を姫君のために隠しておく。
劣った方を、
「これはすばらしい出来です」
と言えば、継父である元常陸の守はよく分からないまま、いそいそと自分の娘の部屋に持っていくの。
守の娘はそういう家具や道具に囲まれて、立派な先生から楽器を習っている。
一曲弾けるようになるたびに、守は先生を拝んでよろこぶ。
そして、先生が埋もれるほどのお礼を渡して大騒ぎするの。
しっとりとした夕暮れ時に、娘が派手な曲を先生と合奏すると、守は涙を流して感動する。
多少教養があって、都の上質なものを知っている母親は、夫の親馬鹿ぶりを見苦しいと思う。
一緒になって娘をほめないので、
「自分の連れ子の世話ばかりに熱心になって。この娘だって自分の子だというのに、父親が私だから見下しているのだ」
と守は恨んでいる。



