野いちご源氏物語 五〇 東屋(あずまや)

翌朝、二条(にじょう)(いん)にいる(かみ)夫人(ふじん)のところに、屋敷から迎えの乗り物がやって来た。
常陸(ひたち)(かみ)が、なかなか帰宅しない妻に腹を立てているらしいの。
「これ以上留守にするなら離婚だと夫が(さわ)いでおりますから、ひとまず私は自宅に戻らなければなりません。恐れ多うございますが娘をよろしくお願いいたします。もうしばらくこちらに置いていただきまして、どうかお気にかけてやってくださいませ」
と、守夫人は中君(なかのきみ)にお願いしていく。

姫君(ひめぎみ)も母親と離れるのは心細いけれど、
<華やかでおしゃれな二条(にじょう)(いん)にもう少しいたい>
と思うから、うれしくもある。