翌日、匂宮様は日が高くなってからお起きになった。
「明石の中宮様のお加減がまたよくないらしい。内裏へお見舞いに上がらなければ」
とおっしゃって、お着替えなさる。
守夫人がこっそりと覗くと、正装姿の宮様は最高にお美しい。
気高い魅力を放ちながら、まとわりつく若君の相手をしておあげになる。
軽いお食事を召し上がってから内裏へご出発なさるみたい。
今朝から参上した貴族たちのなかに、小綺麗だけれどぱっとしない顔立ちの男がいる。
ここではまったく目立たないその男は、なんと少将様だったの。
中君の女房たちが気づいて、ひそひそと話しはじめる。
「あれが元常陸の守の婿になったという少将様よ。今こちらに守の娘が来ているでしょう。本当はあの娘と結婚するはずだったのに、守の実子ではないと知った途端、まだ幼い妹娘に乗りかえたらしいわ。守に経済的に世話されたいだけというのが見え見えね」
「そんなことよく知っているわね」
「こちらではまだ噂になっていないけれど、守の屋敷の女房から聞いたの」
その守の妻が聞いているとも知らず、女房たちは噂話をする。
姫君の破談が女房たちの噂になっていることを知って、守夫人は胸がつぶれそうになる。
<あの程度を立派だなどと思っていたことが悔しい。まったくたいした男ではないのに>
ますます少将様を軽蔑する。
若君がはいはいして、宮様を追っていかれた。
宮様はそれにお気づきになると、もう一度戻ってきて若君におっしゃる。
「中宮様のお具合がよければすぐに帰ってきますからね。おつらそうなら、お父様は今夜は内裏にお泊まりだ。今は一晩あなたに会えないだけで胸が苦しいけれど」
しばらく若君をあやしてご出発なさるお姿が、何度拝見しても見飽きないほどすばらしい。
匂い立つようにお美しくて、いらっしゃらなくなると急にお部屋から華がなくなったような気がする。
「明石の中宮様のお加減がまたよくないらしい。内裏へお見舞いに上がらなければ」
とおっしゃって、お着替えなさる。
守夫人がこっそりと覗くと、正装姿の宮様は最高にお美しい。
気高い魅力を放ちながら、まとわりつく若君の相手をしておあげになる。
軽いお食事を召し上がってから内裏へご出発なさるみたい。
今朝から参上した貴族たちのなかに、小綺麗だけれどぱっとしない顔立ちの男がいる。
ここではまったく目立たないその男は、なんと少将様だったの。
中君の女房たちが気づいて、ひそひそと話しはじめる。
「あれが元常陸の守の婿になったという少将様よ。今こちらに守の娘が来ているでしょう。本当はあの娘と結婚するはずだったのに、守の実子ではないと知った途端、まだ幼い妹娘に乗りかえたらしいわ。守に経済的に世話されたいだけというのが見え見えね」
「そんなことよく知っているわね」
「こちらではまだ噂になっていないけれど、守の屋敷の女房から聞いたの」
その守の妻が聞いているとも知らず、女房たちは噂話をする。
姫君の破談が女房たちの噂になっていることを知って、守夫人は胸がつぶれそうになる。
<あの程度を立派だなどと思っていたことが悔しい。まったくたいした男ではないのに>
ますます少将様を軽蔑する。
若君がはいはいして、宮様を追っていかれた。
宮様はそれにお気づきになると、もう一度戻ってきて若君におっしゃる。
「中宮様のお具合がよければすぐに帰ってきますからね。おつらそうなら、お父様は今夜は内裏にお泊まりだ。今は一晩あなたに会えないだけで胸が苦しいけれど」
しばらく若君をあやしてご出発なさるお姿が、何度拝見しても見飽きないほどすばらしい。
匂い立つようにお美しくて、いらっしゃらなくなると急にお部屋から華がなくなったような気がする。



