匂宮様が二条の院へお越しになった。
守夫人は自分の部屋から出ていって、いそいそと物陰から覗く。
桜の枝のような美しい宮様でいらっしゃる。
憎たらしいところもあるけれど、夫として頼りにしている元常陸の守は、貴族とはいえ地方長官の身分。
匂宮様のおそばには、それより身分の高い貴族がずらりと控えている。
守とこの貴族たちの間には大きな身分の差があって、どの人も見るからに立派なの。
そういう人たちがかしこまって宮様にお仕えしている。
そこへ、内裏からの使者として守の長男がやって来た。
この長男は守の先妻の忘れ形見よ。
やはり立派な貴族たちとは身分が違って、宮様には近づくこともできないでいる。
守夫人はため息をついた。
<なんというすばらしい宮様か。この方の妻でいらっしゃる中君はお幸せだ。これまでは、『いくらご身分の高い夫君でも、他にも妻がいれば中君はおつらいだろう』などと勝手にご同情していたが、浅はかな考えだった。このお姿を一目見れば、七夕のように一年に一度しか会えなかったとしても、この方のご愛情がほしいと思ってしまうだろう>
宮様は若君を抱いてかわいがっていらっしゃる。
中君は背の低いついたての向こうにおられたけれど、そのついたてを押しやって、宮様が何かささやかれた。
お美しいお似合いのご夫婦よ。
<亡き八の宮様は貴族社会から追放されて寂しくお暮らしだった。同じ親王様といっても、こちらはいかにもお幸せそうでいらっしゃる>
超上流の男性を目の当たりにして、守夫人の心は揺らぐ。
守夫人は自分の部屋から出ていって、いそいそと物陰から覗く。
桜の枝のような美しい宮様でいらっしゃる。
憎たらしいところもあるけれど、夫として頼りにしている元常陸の守は、貴族とはいえ地方長官の身分。
匂宮様のおそばには、それより身分の高い貴族がずらりと控えている。
守とこの貴族たちの間には大きな身分の差があって、どの人も見るからに立派なの。
そういう人たちがかしこまって宮様にお仕えしている。
そこへ、内裏からの使者として守の長男がやって来た。
この長男は守の先妻の忘れ形見よ。
やはり立派な貴族たちとは身分が違って、宮様には近づくこともできないでいる。
守夫人はため息をついた。
<なんというすばらしい宮様か。この方の妻でいらっしゃる中君はお幸せだ。これまでは、『いくらご身分の高い夫君でも、他にも妻がいれば中君はおつらいだろう』などと勝手にご同情していたが、浅はかな考えだった。このお姿を一目見れば、七夕のように一年に一度しか会えなかったとしても、この方のご愛情がほしいと思ってしまうだろう>
宮様は若君を抱いてかわいがっていらっしゃる。
中君は背の低いついたての向こうにおられたけれど、そのついたてを押しやって、宮様が何かささやかれた。
お美しいお似合いのご夫婦よ。
<亡き八の宮様は貴族社会から追放されて寂しくお暮らしだった。同じ親王様といっても、こちらはいかにもお幸せそうでいらっしゃる>
超上流の男性を目の当たりにして、守夫人の心は揺らぐ。



