野いちご源氏物語 五〇 東屋(あずまや)

常陸(ひたち)(かみ)少将(しょうしょう)様を盛大(せいだい)にお迎えしようと張り切っている。
でも風流(ふうりゅう)なやり方は知らない。
田舎(いなか)から持ってきた質の悪い布地(ぬのじ)などを、お(とも)へのお土産(みやげ)としてごろごろと転がしておく。
食事も置き場所がないほど並べて、やかましく(すす)める。
それをお供がよろこぶので、少将様も、
<理想どおりになった。結婚相手を継娘(ままむすめ)ではなく実子(じっし)の娘に変えたのは、やはり正解だったな>
と満足していらっしゃる。

母親もさすがに初めのうちは我慢(がまん)していた。
<結婚を見届けなければ夫が(うら)むだろう>
と思って、ただ夫がすることを(だま)って見ていたの。
屋敷は広いけれど、長女や次女の婿(むこ)も暮らしているから、そこへ少将様まで加われば手狭(てぜま)になる。
(かみ)姫君(ひめぎみ)のお部屋がある離れに少将様の部屋をつくろうとした。
これでは姫君は離れの(はし)に追いやられてしまう。
それがもったいなくお気の毒で、
<そうだ、二条(にじょう)(いん)へ一時的に滞在させていただけないだろうか>
と母親は思いついたの。