部屋に戻ると、姫君はかわいらしく座っている。
<こんなに立派な姫なのだから>
と、母親は自分を励ます。
姫君の乳母を呼んで、たった今知ったことを話した。
「人の心というのは嫌なものだね。少将様にはがっかりだ。私は命をかけて婿君のお世話をするつもりだったのに。『守の実子でなければ結婚する意味がない』と馬鹿にして、私に何も言わず、まだ幼い妹娘の方に乗りかえなさったのだよ。しかも結婚の日取りはそのままらしい。見るのも聞くのもぞっとする話だが、夫はよろこんで大騒ぎをしている。少将様と夫はお似合いなのだろう。私はもう完全に手を引こう。しばらくの間だけでも、この屋敷を出ていたい」
乳母も腹を立てて言う。
「姫様を馬鹿にするなんて。でも奥様、これはかえって幸いだったかもしれません。その程度の男に姫様はもったいのうございます。こちらの姫様のお相手は、もっと思いやりも理解もある人でなければ。
薫の君が恋人にしたいと仰せなのでございましょう。姫様のご運を信じて、お望みのとおりに差し上げなさってはいかがですか。宇治の山荘でちらりとお姿を拝見いたしましたが、寿命も延びるようなお美しさでいらっしゃいましたよ」
<こんなに立派な姫なのだから>
と、母親は自分を励ます。
姫君の乳母を呼んで、たった今知ったことを話した。
「人の心というのは嫌なものだね。少将様にはがっかりだ。私は命をかけて婿君のお世話をするつもりだったのに。『守の実子でなければ結婚する意味がない』と馬鹿にして、私に何も言わず、まだ幼い妹娘の方に乗りかえなさったのだよ。しかも結婚の日取りはそのままらしい。見るのも聞くのもぞっとする話だが、夫はよろこんで大騒ぎをしている。少将様と夫はお似合いなのだろう。私はもう完全に手を引こう。しばらくの間だけでも、この屋敷を出ていたい」
乳母も腹を立てて言う。
「姫様を馬鹿にするなんて。でも奥様、これはかえって幸いだったかもしれません。その程度の男に姫様はもったいのうございます。こちらの姫様のお相手は、もっと思いやりも理解もある人でなければ。
薫の君が恋人にしたいと仰せなのでございましょう。姫様のご運を信じて、お望みのとおりに差し上げなさってはいかがですか。宇治の山荘でちらりとお姿を拝見いたしましたが、寿命も延びるようなお美しさでいらっしゃいましたよ」



