野いちご源氏物語 五〇 東屋(あずまや)

仲介(ちゅうかい)役はすぐに少将(しょうしょう)様のところへ上がる。
常陸(ひたち)(かみ)の言ったことを、よろこんでお伝えするの。
田舎(いなか)くさい父親だな。出世に賄賂(わいろ)が必要だなんて、どこの田舎の話だ>
少将様は苦々しく思うけれど、微笑(ほほえ)んでお聞きになっている。

「母親の方も納得しているのか。今思えば、自分の連れ子を私と結婚させようと必死だったのだろう。守と血のつながった娘がよいから(いもうと)(むすめ)に乗りかえたと(さわ)がれたら、私が世間から非難(ひなん)される」
上品そうに少しためらわれる。

「問題ございません。妹娘のことを、母親もたいそうかわいがっているようですから。ただ、連れ子の方が年上なので、結婚がこれ以上遅くなってはいけないと、優先的に縁談(えんだん)をまとめようとしただけらしいのです」
少将様は苦笑いなさる。
<母親が特別に大切にしている娘だと言っていたのに、急に話が変わったではないか。まぁよい。しばらく母親から(うら)まれ、世間から非難されたとしても、長い目で見ればこれが正解だろう>
現実的で合理的な若者なので、そうと決まれば結婚の日取りも変えず、妹娘のところへ通うことになさった。