出がらし姫と蔑まれてきましたが、身代わりの嫁ぎ先で氷の帝王に溺愛されています。

氷の帝王という二つ名がピッタリの男性だった。

短く整えられた氷を思わせる銀髪に、同じく氷を思わせるアイスブルーの双眸。シャープで端整な美貌は整いすぎていて、背筋がゾクリとしてしまうほどだ。

玉座に腰掛けていてもわかる長身に逞しい肉体は、彼こそが冬の男神なのではないかと思わせる迫力があった。詰め襟の濃紺の略装の色彩がまた一層、その印象を冷酷に見せている。

イザークの氷の眼差しがラーラを射抜く。

「……っ」

一瞬迫力に呑まれそうになったが、自分はこの場ではエオストレ王国の代表である。

気圧されてはならないと自分に言い聞かせ、真っ直ぐにその目を見返した。

すると、ほんの一瞬だがイザークの目が見開かれ、わずかに視線が揺らいだ気がした。

(あら?)

だが、次の瞬間にはもう冷酷な眼差しに戻っていた。

(気のせい……だったのかしら)

ラーラが首を傾げていると、イザークが薄い唇を開き、「どういうことだ」と呟いた。

ラーラの心臓がドクンと大きく跳ねる。

「俺はエオストレ王国の春の女神を妃にと望んだはずだ」

エオストレ王国の春の女神と呼ばれる王女は、金髪碧眼だと聞いていたはずだと。

「……大変申し訳ございません」

やはり来たと大きく息を吸って吐いた。

「私は確かに姉のクラウディアではございません」

背後に控えていた騎士団長が、「そんな馬鹿な」と声を上げた。

「陛下、この方こそが春の女神に間違いございません。私は確かにこの目で殿下の周囲の雪が解け、草花が咲き乱れるのを見まし――」