【2.26公開】ハルくんの、かくしごと。




ドキドキ、ドキドキ。

嫌な心臓の音が耳の奥で響く。

ハルくんのお家、久しぶり。

玄関に入って、じっと下を見る。



「なに?」

「……なにも」



そこに――ない。

女の子の靴。

彼女のものらしき靴が、ない。

なんでか分からないけど、ものすごくホッとした。

胸の奥の重さが、少しだけ軽くなる。


靴を脱いで、綺麗に並べる。

これ、常識。

でも、手が震えていて、並べる動作がぎこちない。


階段にスクバを置いて、洗面所へ。

私よりも先にハルくんが手を洗ってる。一瞬外に出ただけなのに、ちゃんと洗うなんて偉いね。

ハルくんが終わったら、次は私の番。

手を洗うの、好き。私、案外潔癖なところあるから。だから、部屋の物も少ないの。


しっかりタオルで拭いて、2階へあがる。

ゆっくりね。走らないよ。


階段を上がる足音が、やけに響く。

ハルくんの背中がすぐ前にあって、 その距離が近いようで遠い。