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放課後、一人で帰る。
柳くんに嘘をついた。
「今日、用事あったの忘れてた!」
柳くんは笑いながら「いいよ」って。
その笑顔に、ちょっとだけ罪悪感が刺さる。
ひとりで乗り込む電車。
あいた左隣と、左手。
ぐっと拳を握って電車に乗り込む。
「……消えて、くれないかな」
座りながら、ボソッと呟いた。
窓の外を流れる景色は、いつもと同じなのに。
一人分開いた席。
いつも、私を先に座らせてくれる。
私の隣が開いたら、自然に座ってくれる。
でも、周りに妊婦さんや高齢者の方がいたら、迷わず譲る。
その姿が、かっこよくて、男前。
また、ポロっと涙が流れる。
「消えてほしい」
この、17年間の思い出、全部。なかったことにしてほしい。
電車の揺れに合わせて、涙が頬を伝う。
人が少ない車内で、本当に良かった。



