【完】ハルくんの、かくしごと。




ハルくんは家の扉を開けて、女の子に入るよう促す。

私に気付かずに、扉は音を立てて閉じられた。


ぐっと唇を嚙みしめる。

胸の奥が熱くて、苦しくて、イライラが止まらない。


ハルくん、そういうのもうやめようよ。


私の方がよっぽど健全だと思う。

なのに、ハルくんはいつも違う女の子を連れ込んで――。


久しぶりにその場面に遭遇したからなのか、怒りが膨らんでいく。

胸の奥でぐるぐる渦を巻いて、涙になりそうなほど。


ハルくん、私に「いい加減にしろ」って言うけどさぁ。

ハルくんこそ、いい加減にしてよ。


家の鍵をガチャガチャあけて、速足で自分の部屋へ向かう。

荒々しくスクバを放り投げ、ベッドへダイブ。



「もう知らない。ハルくんなんか知らない」



そう呟いた声は、枕に吸い込まれて消えていく。

でも、頭の中ではまだハルくんの姿がちらついて、“知らない”なんて言葉が嘘みたいに重く響く。

胸の奥がじんじん痛くて、涙が滲む。

怒りなのか、悲しみなのか、分からない。

ただ、ハルくんの冷たい声と、女の子の小さな背中が焼き付いて離れない。



「……ほんとに、知らないから」



強がるようにもう一度呟いて、布団に顔を埋めた。