“好き”って伝えたら、消えてしまう気がする。楽しかったのも、苦しかったのも、全部。消さないといけない。そんなの、耐えきれない、私。
「…っ、ハルくんっ…」
たまらず、しゃがみこんだ。
涙で雪が滲んで見える。 白いはずの景色が、ぐしゃぐしゃに歪んで、足元に広がっていく。
そのとき――。
「ちあ」
「…っ、」
振り向かなくても分かる。誰の声か。
「ちあ、一緒に帰る約束破るなよ」
そんなの、言われたことないし、思ったこともないくせに。なんで、こういうときだけ。
「…ちあ」
ジャリッと、雪を踏みしめる音が近づいてくる。
顔、見られたくない。
動かないでいると――後ろから、包まれるように抱きしめられた。



