15分揺られて、走って改札を抜ける。
止まりたくない。ハルくん、追いかけてきてるかも――そう思って走る足。
…でも、追いかけてきてくれてない、か。
その考えが胸に落ちた途端、急に足が止まってしまった。前に進めない。
冷たい風が頬を刺して、白い息が空に溶けていく。走り続けていた心臓の鼓動が、今度は痛みのように胸を締め付ける。
目の前に並ぶ二つの家。赤ちゃんの頃からずっと隣同士で、同じ幼稚園に通って、同じ小学校に登校して。放課後は毎日遊んで、笑って、泣いて。
中学生になってもそれは変わらなかった。
でも、ある日突然、ハルくんが素っ気なくなってしまった。
それでも、優しさは変わらなくて。泣いていると助けてくれて、文句を言いながらもそばにいてくれて。
――ずっと、私のヒーローだった。
その記憶が胸に積み重なって、足が動かない。
「…ハルくん、すき」
涙がぽろぽろと零れ落ちる。
やっぱり、無理かも。
17年の思い出、全部、もしなくなってしまったら――ほんとにもう耐えられない。



