少しの沈黙が続いた後、ハルくんが困った顔のまま口を開けた。怖い。聞きたくない。そう思った瞬間、私は走り出してしまっていた。
後ろから「ちあ!」とハルくんが私を呼ぶ声が響く。
でも、聞きたくない。 ――幼なじみやめたいって、そんなの聞きたくない。
外に出ると、息が白く立ちのぼる。
走っていると、肺まで冷たい空気が一気に流れ込んで痛い。
タイミングよく電車がきて、私はそのまま乗り込んだ。
今日、伝えるって決めたばかりなのに。自分の意志の弱さにイラつく。
「好き」って、たった2文字。それだけなのに。幼なじみという関係のせいで、こんなにも怖いものになるなんて。
やだ。 ハルくんと幼なじみやめたくない。でも、好きって知ってほしい。
どうしたらいいのか分からない。言葉にすれば壊れてしまいそうで、 言わなければ届かないままで。
胸の奥でぐるぐると渦を巻く気持ち。それでも、頭に思い浮かぶ顔は一人だけ。
助けてほしくないのに―― どうしても助けてほしいって思ってしまう。
その矛盾が苦しくて、涙が滲む。



