「千秋ちゃん、俺が代わりに言ってあげようか?」
「…。」
「ハルくんのこと好きなんですって」
「……や、めて」
「やっとこっち向いてくれた」
…だめでしょ、反応しちゃったら。
でも、私以外の人がハルくんのことを“ハルくん”って呼ぶのは許せない。私の気持ちを他人に、ましてや荻原くんに言われるなんてあり得ない。
ほんとに、嫌い。大っ嫌い。
「そんなに睨まないでよ。仲良くしようよ」
「するわけないでしょ?」
ムカつく、能天気。どうしてこの人は、私の心を踏みにじるようなことばかり言うんだろう。笑ってごまかすその態度が、余計に腹立たしい。
「てか、ここでなにしてるの?」
「…荻原くんに関係な、」
最後まで言い切る前に、荻原くんの手が伸びてきて――その瞬間、全身に鳥肌が立った。
走馬灯みたいに、過去の記憶が一気に押し寄せてくる。動けない。 なんでこんなことになったんだろう。なんで私が。
ぎゅっと唇を噛んだ瞬間、急に目の前が真っ暗になった。
同時に、ぐっと後ろのほうへ体重がかかって――
ドンッ。
勢いよく、後頭部がなにかに当たった。衝撃で息が詰まる。



