「…ハルくん、だいすき」
「…ハルくんのこと、すきなんだけど、」
「ずっと好きでした」
ぶつぶつ、ハルくんを待っている間、何度も練習する。どういうのが正解なんだろう。どうしたら伝わるんだろう。
考えていると――
「わっ!」
「わっ…!?」
後ろから、耳元に声。咄嗟に耳を抑えて、バッと振り向く。
「好きです、好きですって、誰に言う気なの?」
「…っ、」
「あ、ごめん。佐々木しかいないよね」
馬鹿にしたように、クスクスと笑う荻原くんがいた。
思わず、後ずさる。
胸が一気に冷たくなって、さっきまでの勇気が吹き飛んでしまう。
どうして、こんなタイミングで…。
「千秋ちゃん、まだ言えてなかったの」
はあ、とため息をつく荻原くん。
なんで、荻原くんにそんなこと言われないといけないの。新学期初日から会うなんて、幸先が不安だ。それにこの人、あんなことがあったのに、ほんとに一ミリも反省してる様子が感じられない。
――無視しよう。絶対に、関わりたくない。
私は強くそっぽを向いて、階段の方へ視線を固定する。そこに、ハルくんが戻ってくるはず。その姿だけを待つ。



