【2.26公開】ハルくんの、かくしごと。




「…ハルくん、だいすき」

「…ハルくんのこと、すきなんだけど、」

「ずっと好きでした」



ぶつぶつ、ハルくんを待っている間、何度も練習する。どういうのが正解なんだろう。どうしたら伝わるんだろう。

考えていると――



「わっ!」

「わっ…!?」



後ろから、耳元に声。咄嗟に耳を抑えて、バッと振り向く。



「好きです、好きですって、誰に言う気なの?」

「…っ、」

「あ、ごめん。佐々木しかいないよね」



馬鹿にしたように、クスクスと笑う荻原くんがいた。
思わず、後ずさる。

胸が一気に冷たくなって、さっきまでの勇気が吹き飛んでしまう。
どうして、こんなタイミングで…。



「千秋ちゃん、まだ言えてなかったの」



はあ、とため息をつく荻原くん。

なんで、荻原くんにそんなこと言われないといけないの。新学期初日から会うなんて、幸先が不安だ。それにこの人、あんなことがあったのに、ほんとに一ミリも反省してる様子が感じられない。

――無視しよう。絶対に、関わりたくない。

私は強くそっぽを向いて、階段の方へ視線を固定する。そこに、ハルくんが戻ってくるはず。その姿だけを待つ。