「…荻原がいても、いなくても、これからは俺が迎えに行くよ」
そう言って、私の髪を耳にかけた。
ハルくんの表情が優しくて、その言葉がたまらなく嬉しくて、胸がぎゅっとなって痛い。
その顔、誰にも見せないで。
ハルくんが好きだと気づいてから、なにもかもがキラキラして見えて、それで少しだけ痛い。
泣きそうになるのをこらえて、きゅっと唇を噛んだ。
靴を履き替えていると――
「ちあ。マフラーないの今気づいた。教室戻るから、待ってて」
ドキドキ、ドキドキ。
今、一人になってよかったのかも。
胸の奥で渦巻いている「好き」を、どう伝えようか。
言葉にしたら、どんな顔をされるんだろう。怖いけど、でも、もう抑えられない。
廊下に残された時間が、告白の練習みたいに感じる。
「…好きだよ」
小さく口にしてみると、声は震えていた。



