「ハルくん、迎えに来てくれたの?」
覗き込むような形で声をかけると、スマホをポケットにしまって「うん」ってそれだけ。
でも、それが嬉しい。
「荻原くん、まだいた?」
廊下を並んで歩きながら、なんとなくそう聞くと、ハルくんはちょっとムッとしながら――
「なんで?気になる?」
気になるというか…。
それで、私のことを迎えに来てくれたんだったら嬉しいなって思っただけなんだけど。
少しトゲのあるハルくんの声に、しゅんとしてしまう。
胸の奥がきゅっと縮んで、言葉が出なくなる。
でも、歩幅を合わせてくれるハルくんの横顔を見ていると、そのトゲの裏にある優しさを、どうしても信じたくなる。
「…気になるんじゃなくて、ハルくんが来てくれたのが嬉しかっただけ」
小さな声でそう言うと、ハルくんの肩がほんの少しだけ揺れた。



