バレンタインとか、そもそも作る気ないし。あげたこともない。
でも、ハルくんは驚いた顔をして―― 「うまい」って言ってくれた。
「でしょ?やればできるんだから。褒めて!」
「凄いじゃん」
そのまま無言で食べ続けるハルくん。私はずっと、その横顔を見ていた。
「見んな」 って言われたけど。
さっきまでのかわいいハルくんは、どこへやら。でも、元気になってくれたなら、それでいいや。
食べ終わったあと、食器を洗おうとすると、「さすがに、そこまではいい」って止められた。
だから、ソファに並んでテレビを見ることに。
ハルくんにピトッとくっつく。押し返されるかなと思ったけど、全くそんな素振りはなくて。
だから、ついでにコテンと頭も肩に預けた。
すると――ハルくんのほうも私に寄りかかってきて。
なんで?どうして?
頭がぐるぐるして、落ち着かない。
好きと気づく前の私じゃ、考えられないくらいドキドキして。
そろそろ死ぬんじゃないかって思うくらい、幸せ。
ハルくんは熱出して辛かっただろうけど、私にとっては、すごく幸せな一日になってしまった。
帰るとき、家まで送ろうとしてきたから全力で拒否した。
そのときの、不服そうな顔。
――それにもまた、嬉しくなってしまった。



