【完】ハルくんの、かくしごと。




ハルくんが好きだと気付いた今―― 一度抱きしめられると、もうどうしても離れたくなかった。

私のことを放っておかないでほしかった。私を見ていてほしかった。

その願いは、胸の奥から溢れて止まらない。震える指先で、ハルくんの服をぎゅっと掴む。離れたら、またあの恐怖に飲み込まれてしまう気がした。



「…ハルくん、お願い。今日だけでいいから」



今日だけでいい。 ほんとに、今日だけでいいの。今日だけでいいから、前みたいに優しくしてほしい。



「…明日になったら、話しかけないしっ…ハルくんの前に現れないしっ…」



必死に言葉を重ねて、ぎゅっと抱きしめて離さない。絶対に、離れたくない。



「ちあ…離して」



冷たいその声に、胸が痛む。でも、離したくない。もっと強く抱きしめる。

私の力なんて、ハルくんだったら簡単に振りほどける。でも、そうしないのは、優しいから。
残酷だ。
優しくするなら、最後まで優しくしてほしい。私のことが嫌いなら、探しに来ないでほしい。