【2.26公開】ハルくんの、かくしごと。




「佐々木、今、俺んちに千秋ちゃんといるんだけど」



荻原くんを、キッと睨みつける。



「荻原くん、やめ、て…」



震える声でそう言って、通話を切ろうと手を伸ばす。
でも、あっさり奪われた。



「駄目だよ、千秋ちゃん」

「…っ、ハルくんっ、通話切って!」



声が震える。 切ってほしいのに、切ってほしくない。 助けに来てほしいのに、迷惑はかけたくない。
矛盾だらけの心が、胸の奥でぐちゃぐちゃに絡まる。
泣きたくない。絶対に泣きたくない。



「佐々木、もしさ、俺が千秋ちゃんのこと襲ったら怒る?」

『……は?』



やだ。そんなこと、聞かないでほしい。



『…お前ら、付き合ってんじゃないの?』

「あー。そんなことも言ったかもね?付き合ってないよ。今も、たまたま会っただけだし。ねぇ、佐々木はどうするの?」



荻原くんの手が、頬から首、鎖骨、胸まで移動する。



「や、だっ…荻原くん、やめてっ…!」


やだ、怖い。
…もう、やだ。



『…か、ってにすれば?そもそも、付き合ってもないのに、のこのこ付いてったのあいつだろ』



冷たい声が、スマホから聞こえる。

分かってたのに。 ハルくんから離れたのは、私からで。 ハルくんは、私のことを幼なじみとも思ってないって、わかってたのに。
ズキッと痛んで、胸が凍り付く。