「今千秋ちゃんのこと抱いたらさ、佐々木はどうすんだろ」
「…っ、ハルくんは、どうもしないでしょっ…」
私の上に跨って、鋭い目つきで見下ろされる。
肩も、頬も、痛い。怖い。
「佐々木の思いって、そんなもんなの?」
「…は、るくんは私のこと何とも、思ってないもんっ…」
「…俺に、見せてほしいな。好きな人って、自分にとってどんなものなのか」
荻原くんは、そう言って、床に落ちた私のスマホを拾い上げた。そして、勝手に触り始める。さっき落としたままだから、ロックがかかっていない。
「お、あった」
そう呟いて、画面を私に見せてくる。“遥”の文字と、初期設定のままのアイコン。
「なに、する気?や、めてよ」
「佐々木は、どうすんだろ。探しに来るかな」
来ない。ハルくんは、絶対来ない。
泣きそうになって、必死にこらえる。
絶対、泣きたくない。こんなとこで、泣きたくない。
スマホの画面が、私の心をえぐるように突きつけられる。荻原くんの笑みは、残酷で、冷たくて、でもどこか楽しそうで。その顔を見ていると、胸の奥がぐしゃぐしゃになっていく。
「……返して」
震える声で言う。 でも、荻原くんは聞いてくれない。



