階段をあがって、一番奥の一番広いお部屋。
スライド式のドアを開けると、すぐに広がるハルくんの匂い。
爽やかで、優しくて、シトラス。
多分、ベッドの横のサイドテーブルに置いてあるフレグランスのせい。
深めの茶色と黒で統一された部屋。
ものは少ないけど、シンプルでセンスがいい。
私、このお部屋が好き。
落ち着くし、安心する。ここに来ると、なんとなく呼吸が楽になる。
「お前、いい加減にしろ」
後ろからハルくんのどすの効いた声。
振り向くと、私より頭一個分以上高い背から見下ろされている。 鋭い目つき。
「お邪魔しまーす」
ほんとはお家に入る前に言う言葉。
わざとここで言って、ハルくんのお部屋に足を踏み入れる。



