私を見下ろす荻原くん。
何が起こってるのか、なんでこんなことをするのかも分からない。
「…千秋ちゃんさ、ほんとイラつくんだよね」
「…急に、悪口?」
ぐっと、右肩を押されて、かなり痛い。
「…っ、痛いしっ、やめて」
「うーん」
「ね、え。私たち、こういう関係じゃないじゃんっ」
ただの友達。そうでしょ。そういう話もちゃんとした。理解してくれた。
右肩を押す荻原くんの手首を両手で握る。
離してほしい。
「千秋ちゃん。俺さ、この前カフェで話してから、ずっと考えたよ。でも、恋とか、愛とか、一生分かんなくてさ。黙って千秋ちゃんの話聞いてたけど、ずっとわかんなかったよ、あの時も。俺には多分一生分かんねーなと思う。俺にとっては、体の関係がある女の子も、そうじゃない千秋ちゃんみたいな女の子も、どっちも友達だよ。境目なんて、ない。俺は、クズだって十分自覚してるよ。他の人の常識から外れてるって。だからさ、ずっとイラつくんだよ。“好き”とか、そんなこと言われても分かんねーし。俺を置いて先に行っちゃう千秋ちゃんなんか、壊れたらいいよ」
「…は?何言って、」
荻原くんの手が肩から離れたと思ったら、顎に移動して、グッと捕まれる。
これ、やばいかも。



