荻原くんがDVDをセットしてくれて、私はテーブルの上に買ったお菓子やジュースを準備した。ソファに座って、映画を見る。荻原くんと私の間には、人ひとり分くらいの間がある。
「千秋ちゃん、これ好きなの?」
「うん。毎年のルーティン」
「へー。いいね」
ソファの上に置いてあったクッションを、少し借りる。
ぎゅっと抱きしめていると、ポケットのスマホから通知音。お母さんからだ。“了解”のスタンプだけ。
「佐々木と、どうなったの?」
「…どうも、なにも?」
「…ふーん?」
荻原くんの声が、少し楽しさを含んで返ってきた、その瞬間だった。
急に、クッションを取られて、ソファの上に押し倒される。
いきなりのことで、思考も追いつかない。声すら出なかった。
持っていたスマホが手から離れてしまって、ゴトッと音を立てて床に落ちた。



