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「ねぇ、ハルくん。今日、お家行ってもいい?」
放課後、帰り道。 ハルくんの少し斜め後ろを歩きながら、顔色を伺う。
電車に乗るときに繋がれていた左手は、もうとっくに離れている。
「ハルくん、聞いてる?」
聞こえてるはず。
無視しないでよ。
「…勝手に行くからいいけどね~」
ふんっとそっぽを向く。わざと軽く言ってみせる。
本当は、返事が欲しいだけなのに。
するとハルくん、急に立ち止まって。 私を睨んでくる。
「…なんですか」
とっても長い溜息をついて、一言。
「そろそろ、俺離れしてくんない?」
……お、俺離れって。
「私が?」
「他に誰がいんだよ」
また、前を向いて歩き出したハルくん。
背中だけが遠ざかっていく。
――俺離れ。



