【2.26公開】ハルくんの、かくしごと。




初めてだった。

「付き合おう」って言われて、こんなにドキドキするの。

しかも、「好き」って言われたわけじゃない。それっぽく言ってるけど、かなりクズな発言。

私の周り、こんな人間しかいない気がする。



「…荻原くん、クズ」


「そうだよ」



しかも、開き直ってるタイプ。堂々と笑ってる。



「でも、私はもっとクズ」



そう言った瞬間、頬を撫でていた荻原くんの手が形を変えて、きゅっと優しめにつねってきた。



「ちょっと?」


「千秋ちゃんは、クズじゃないよ。俺とは違う」



なにが? なにが違うんだろう。

クズのタイプは違うかもしれないけど、私だって立派なクズだ。



「全部、俺のせいにしていいからさ。ちょっとだけ、俺に時間ちょうだいよ」



荻原くん、そう言って――私の頬にチュッて。軽く。ほんとに、一瞬。

触れるか、触れないか、ギリギリのラインで。



「…きょ、許可してない」



思わず、頬にパチンッと勢いよく手を当ててしまった。


なんで。

なんで、自分で自分を叩いてるの。


頬に残る熱が、心臓の音をさらに大きくする。

ドクン、ドクン。 耳の奥まで響いて、落ち着かない。

荻原くんは、悪びれる様子もなく、むしろ楽しそうに目を細めていた。