「めっちゃ探したんだけど…って、どうした?」
ジュースとアイス、二つずつ。
両手に抱えて、駆け寄ってくる荻原くん。
私の前にしゃがんで、また涙を拭いてくれる。
その仕草が、少しだけ恥ずかしい。
「アイス、すき?」
「…う、ん」
バニラとチョコのアイスを二つ出して、「どっち?」って。
断然、バニラ。
バニラを選ぶと、 「意外」って笑われた。
「袋貰うの忘れた」って、今更呟いてる。
「大きい猫だなー」なんて言いながら、私の隣に座ってアイスの袋を開ける。
バニラの方。 開けて渡してくれる。
気が利く。
――恥ずかしい。
なんだか、恥ずかしくなってきた。
私も、今更。でも、恥ずかしいもん。
子どもみたいにわんわん泣いてさ。
「落ち着いた?」
荻原くんが両足を伸ばして、チラッと私を見ながらそう言ってくる。
恥ずかしい。
こっち見ないで。
無言でいると、ケラケラ笑う。
なんか、初めてのタイプ。 変な人。
「俺、千秋ちゃんの言ってたことなんとなく分かるよ」
得意げにそう言うけれど――私の何が分かるの?
「分かんないよ。荻原くん、悩みとかなさそうだもん」
「酷いな。分かるって言ったのは、恋がいまいち分からないって部分ね。経験は山ほどあるけど、人を好きになったことがない」
長い足を組んで、遠い目をしてそういう。
荻原くん。今日知り合ったばかりなのに、なんとなくどんな人か分かってきた。



