【2.26公開】ハルくんの、かくしごと。




「めっちゃ探したんだけど…って、どうした?」



ジュースとアイス、二つずつ。

両手に抱えて、駆け寄ってくる荻原くん。

私の前にしゃがんで、また涙を拭いてくれる。

その仕草が、少しだけ恥ずかしい。



「アイス、すき?」


「…う、ん」



バニラとチョコのアイスを二つ出して、「どっち?」って。

断然、バニラ。

バニラを選ぶと、 「意外」って笑われた。

「袋貰うの忘れた」って、今更呟いてる。

「大きい猫だなー」なんて言いながら、私の隣に座ってアイスの袋を開ける。

バニラの方。 開けて渡してくれる。

気が利く。


――恥ずかしい。

なんだか、恥ずかしくなってきた。

私も、今更。でも、恥ずかしいもん。

子どもみたいにわんわん泣いてさ。



「落ち着いた?」



荻原くんが両足を伸ばして、チラッと私を見ながらそう言ってくる。


恥ずかしい。

こっち見ないで。


無言でいると、ケラケラ笑う。

なんか、初めてのタイプ。 変な人。



「俺、千秋ちゃんの言ってたことなんとなく分かるよ」



得意げにそう言うけれど――私の何が分かるの?



「分かんないよ。荻原くん、悩みとかなさそうだもん」


「酷いな。分かるって言ったのは、恋がいまいち分からないって部分ね。経験は山ほどあるけど、人を好きになったことがない」



長い足を組んで、遠い目をしてそういう。

荻原くん。今日知り合ったばかりなのに、なんとなくどんな人か分かってきた。