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放課後。忘れてた、完全に忘れてた。
ハルくんに「一緒に帰ろう」って言うこと。
朝、あれだけのことがあったのに、まだ一緒にいたいって思ってる。
…バカ、みたい。
紗里衣ちゃんに「バイバイ」と手を振って、教室を出る。
右に行くか、左に行くか迷う。どうしよう。弱気。
最近、ハルくんの隣が居心地よかったり、悪かったり。
あ、学校では相変わらず悪いよ。女子の視線、感じるから。
もう、ほんとにやめてしまおうか。
そう思って、左へ体を向けて歩き出す。
帰る人の流れに沿ってね。
…でもさぁ。
クルッと方向転換。
やっぱり、無理、かも。
ほんと、バカ、アホ、間抜け、私。
自分のこと、こんなに嫌いになったことない。
ハルくんの教室の前に立ち止まる。
少し、顔を覗かせる。
……いない。
勇気出したのに。肩を落とす。
その瞬間―― 後ろから、ポン、と右肩に手。
「なんでここにいるの?」
「げっ」
――荻原くん。苦手。
「私、帰るので。さようなら~」
肩に置かれた手をパッと振り払う。
流れるように手を振りながら歩き出す。
「待って」 なんて追いかけてくる。
ちょっと、なんで? やめて。来ないで。
思わず早歩き。
でも、私の早歩きなんて、大抵の人追いついちゃう。
3秒後には、隣に荻原くんがいる。
最悪。



