ハルくん、何か言って。
いつもみたいに、だるそうに「はいはい」って。
「…もう、しない。ほんとに、しないからっ… そしたら、まだ幼なじみでいてくれるっ…? 隣にいてもいいっ…?」
制服の裾を引っ張っている。
この行為すら、煩わしいのかもしれない。
震える手を、ハルくんから離す。
指先が空気に触れた瞬間、心臓が沈む。
繋ぎ止めていたものを、自分から手放した。
目の前にいるのに、凄く距離があるみたい。
さっきは「何か言って」って思ったのに、ハルくんが口を開けるのを見た瞬間、急に怖くなった。
「あのさ、」
「は、ハルくんっ!遅れちゃうし、歩きながら話そっ! あ、もしかして、この距離もだめだったりするっ? 私、どこまでだったら近づいても許してくれるっ?」
「そうじゃな」
「ねぇ、ハルくん、どこまでだったら普通の幼なじみなの? 私、いつからおかしかったかなっ?最初から?ずっと変だった?」
あぁ、まずい。ハルくん、困ってる顔してる。
「おい、人の話を」
「あ、もう電車来ちゃうよ、走ろ」
聞きたくない。なにも聞きたくない。



