【完】ハルくんの、かくしごと。




ハルくんの言葉が、痛い頭に残る。


…いつも、私からだった。

手を繋ぐのも、ぎゅーも、一緒に寝るのも。

一度だって、ハルくんから触れてきたことはない。


ねぇ、ハルくん。

もし、私がそれをやめたら、もう怒るのやめてくれる?

また、仲の良い幼なじみに戻ってくれる?



「…は、ハルくんっ…」



涙目になりながら、ハルくんを追いかける。


いつも、そう。

私が、追いかけられたことなんてない。

気付いたら、一人で大人になっていて。

私の知らないハルくんが増えていて。私だけがずっと子ども。

…でも、そういうのもう、やめるから。



やっと追いついて、ハルくんの制服を引っ張る。

グイっと、一瞬バランスを崩したハルくん。



「ハルくんっ…もうっ…やめるからっ…! 許可なく、触れたり、しないし…そういうことも言わないからっ…」



…ほんとは。

ほんとは、そのポケットに突っ込んでいる右手をぎゅっと握り締めたい。

でも、そういうの、普通の幼なじみは、しない。

そうなんでしょ?



「…ちゃんと、幼なじみ、で、いるから…」



言葉を吐き出した瞬間、胸の奥がきゅっと痛む。

“幼なじみ”という言葉に縋るようにして、 自分の気持ちを押し殺す。

ハルくんは立ち止まったまま、何も言わない。

ただ、制服の裾を引っ張る私の手を見下ろしている。