【完】ハルくんの、かくしごと。




「ハルくんも柳くんも、もっと分かりやすく私に教えてくれない? 私がバカなの知ってるでしょ?」

『まずここで、佐々木の名前出す時点でおかしいんだよ』



グサッ。

胸に刺さる。

デリカシー皆無。私の悪いところ。

あと、全部顔に出るとこ。正直すぎるところ。



『それに、櫻井はバカじゃないよ。バカじゃなくて…そうだな』

「バカ以外にないと思うんだけど…」



柳くん、いつも優しいのに。

別れることになった途端、その優しさを捨てたみたいだね。



『あ!櫻井は、鈍感なんだ。鈍感すぎる』

「…私、これでも人の気持ちとか敏感だと思うんだけどな…」



紗里衣ちゃんの情緒分かりやすいし…。

ハルくんも怒ってるのすぐ分かるし…。



『でも、好意には気付かないじゃん。俺が好きだったこと気付いてなかったでしょ』

「…た、しかに」

『他にもきっといろいろあるよ、櫻井が気付いてないこと』



胸がチクリと痛む。

私が見えてないもの、たくさんあるんだろうな。

人の気持ちに敏感だと思ってた。

泣いてる顔とか、怒ってる声とか、そういうのは分かる。

でも、“好き”っていう気持ちだけは、どうしても見えない。


多分それは、私自身その感情を経験してないからだと思うんだ。

恋をしたことがないから。