そのまま二月が終わってしまった。
これ以上ないほど源氏の君はお嘆きになって、ためしに場所を変えてみてはと、紫の上を二条の院にお移しになる。
帝もご病気をお聞きになって悲しまれる。
源氏の君のご子息の大将様もできるかぎりのご協力をなさる。
「何度も出家をお願いしておりますのに、どうして」
少し意識がはっきりなさっているときには、か細い声で源氏の君をお恨みになる。
<死んでしまって別れるなら諦めもつくだろうが、出家で別れるのは耐えられない>
惜しくて悲しくて、とても源氏の君にはお許しになれないの。
「昔から私の方こそ出家したいと思っていたのだ。あなたのためにそれを我慢していたのに、逆にあなたが私を置いて出家すると言うのか」
そうおっしゃっているうちにどんどんご病気は重くなって、危篤状態になってしまわれることもたびたびある。
<どうしたらよいのだ>
源氏の君は混乱なさる。
出家を許せば、もしご病気から回復されてももうご夫婦ではいられない。
しかし出家をさせないままお亡くなりになったら、紫の上はあの世でお苦しみになる。
二条の院で紫の上に付ききりになって、姫宮様のところへはまったく行かれない。
家来や女房たちも二条の院に移ってきて、六条の院は静まりかえっている。
姫宮様をはじめ、花散里の君や明石の君もおいでだけれど、紫の上がいらっしゃらないだけでそうなってしまうの。
女御様も心配して六条の院から二条の院へお移りになった。
「もし妖怪が憑りついたら大変です。早く六条の院にお戻りなされませ」
苦しみながらおっしゃる。
女御様がお連れになったご次男の皇子様がとてもおかわいらしくて、紫の上は涙をこぼされる。
「大人におなりになったところを拝見できませんね。私のこともお忘れになってしまうでしょうね」
弱々しくおっしゃるので、女御様もお泣きになる。
「縁起の悪いことを考えてはいけない。それほど深刻なご病気ではないのだ。気の持ちようでなんとでもなるものだから、心を落ち着かせてまだまだ生きておくれ」
僧侶たちも懸命にお祈りしている。
妖怪が憑りついているわけではなさそうなの。
とにかく原因がはっきりしない。
ただ、毎日少しずつ弱っていかれるから、源氏の君は悲しくて他のことなど何もお考えになれない。
これ以上ないほど源氏の君はお嘆きになって、ためしに場所を変えてみてはと、紫の上を二条の院にお移しになる。
帝もご病気をお聞きになって悲しまれる。
源氏の君のご子息の大将様もできるかぎりのご協力をなさる。
「何度も出家をお願いしておりますのに、どうして」
少し意識がはっきりなさっているときには、か細い声で源氏の君をお恨みになる。
<死んでしまって別れるなら諦めもつくだろうが、出家で別れるのは耐えられない>
惜しくて悲しくて、とても源氏の君にはお許しになれないの。
「昔から私の方こそ出家したいと思っていたのだ。あなたのためにそれを我慢していたのに、逆にあなたが私を置いて出家すると言うのか」
そうおっしゃっているうちにどんどんご病気は重くなって、危篤状態になってしまわれることもたびたびある。
<どうしたらよいのだ>
源氏の君は混乱なさる。
出家を許せば、もしご病気から回復されてももうご夫婦ではいられない。
しかし出家をさせないままお亡くなりになったら、紫の上はあの世でお苦しみになる。
二条の院で紫の上に付ききりになって、姫宮様のところへはまったく行かれない。
家来や女房たちも二条の院に移ってきて、六条の院は静まりかえっている。
姫宮様をはじめ、花散里の君や明石の君もおいでだけれど、紫の上がいらっしゃらないだけでそうなってしまうの。
女御様も心配して六条の院から二条の院へお移りになった。
「もし妖怪が憑りついたら大変です。早く六条の院にお戻りなされませ」
苦しみながらおっしゃる。
女御様がお連れになったご次男の皇子様がとてもおかわいらしくて、紫の上は涙をこぼされる。
「大人におなりになったところを拝見できませんね。私のこともお忘れになってしまうでしょうね」
弱々しくおっしゃるので、女御様もお泣きになる。
「縁起の悪いことを考えてはいけない。それほど深刻なご病気ではないのだ。気の持ちようでなんとでもなるものだから、心を落ち着かせてまだまだ生きておくれ」
僧侶たちも懸命にお祈りしている。
妖怪が憑りついているわけではなさそうなの。
とにかく原因がはっきりしない。
ただ、毎日少しずつ弱っていかれるから、源氏の君は悲しくて他のことなど何もお考えになれない。



