野いちご源氏物語 三四 若菜(わかな)下

「さてと、それでは姫宮(ひめみや)様に昨夜の演奏がお上手だったとお伝えしてきましょうか」
夕方になると源氏(げんじ)(きみ)は立ちあがって、姫宮様のお部屋へ向かわれる。
宮様はご自分の存在が誰かを悩ませているなんて思いもよらず、少女らしい素直さで(きん)の練習をなさっているの。
「今日はお稽古(けいこ)はしませんよ。師匠(ししょう)を休ませて他のことで満足させてください。苦労した甲斐(かい)があって、琴は十分お上手になられましたからね」
用意されていた琴には見向きもなさらず、宮様のお手をとるとご寝室にお入りになった。