野いちご源氏物語 三四 若菜(わかな)下

大将(たいしょう)様はご子息(しそく)と乗り物でお帰りになる。
道中(どうちゅう)(むらさき)(うえ)(そう)の音色が耳から離れず恋しく思い出される。
正妻(せいさい)雲居(くもい)(かり)は、祖母君(そぼぎみ)である亡き大宮(おおみや)様から楽器を教わっていらっしゃった。
でも、十代半ばで別々に暮らすことになってしまったから、十分習得(しゅうとく)できなかったとお思いになっている。
恥ずかしがって夫君(おっとぎみ)の前ではお弾きにならない。
おっとりとした女君(おんなぎみ)で、お子を何人も生んで、すっかり母親になってしまわれている。
それでも愛嬌(あいきょう)があって、若々しくやきもちを焼くところなどはかわいらしいと大将様はお思いになっている。