野いちご源氏物語 三四 若菜(わかな)下

笛の少年たちもよくがんばったわ。
「眠たくなっただろうに。今夜の音楽会は短い時間で終わらせるつもりだったが、あまりにどの楽器もよい音色だったから遅くなってしまった。かわいそうなことをしたね」
玉葛(たまかずら)(きみ)のご子息(しそく)にご自分のお着物を脱いでお与えになる。
大将(たいしょう)様と雲居(くもい)(かり)のご子息には(むらさき)(うえ)からご褒美(ほうび)が出た。
つづいて姫宮(ひめみや)様が大将様にご褒美をお出しになったので、源氏(げんじ)(きみ)は、
「これはどうしたことだろう。まずは師匠(ししょう)にご褒美をくださると思っていたのに。悲しいではありませんか」
と冗談をおっしゃる。

すると、姫宮様は笛を差し上げなさる。
とてもよい高麗(こま)(ぶえ)なの。
少しお吹きになると、退出しかけていた大将様が立ち止まって、ご子息の笛を借りてお合わせになる。
とてもお上手で、さすがこちらも源氏の君がお教えになったお弟子(でし)でいらっしゃる。