野いちご源氏物語 三四 若菜(わかな)下

月明かりがないころなので、()(えん)のあちこちに(あか)りを下げてある。
まだ演奏はつづいているけれど、源氏(げんじ)(きみ)女君(おんなぎみ)たちがどんなご様子か気になって見てまわられるの。
姫宮(ひめみや)様は小柄(こがら)でかわいらしくて、まるでお着物だけがそこにあるような感じがする。
大人の女性らしい美しさは足りないけれど、上品で(はかな)げでいらっしゃる。
<いかにも最高に(とうと)いご身分の女性だ>
と源氏の君はお思いになる。

明石(あかし)女御(にょうご)様は宮様と同じように上品で、もう少し大人の女性らしさがおありよ。
奥ゆかしくてご立派な雰囲気で、後宮(こうきゅう)のお(きさき)様たちのなかでも別格でいらっしゃるでしょうね。
(むらさき)(うえ)は豊かなお(ぐし)が印象的。
お体も華奢(きゃしゃ)すぎず、あたりがぱっと明るくなるようなお美しさなの。

こういう方たちに囲まれては身分の低い明石の君は(おと)って見えそうだけれど、そんなことはない。
お振舞いはご立派で、深い教養が伝わってくるから上品に見える。
女房(にょうぼう)のような格好で謙遜(けんそん)しているけれど、さすが女御様のご生母(せいぼ)だという品格があるわ。