野いちご源氏物語 三四 若菜(わかな)下

(きん)(げん)楽器(がっき)の中でも特殊(とくしゅ)な楽器なので、源氏(げんじ)(きみ)明石(あかし)女御(にょうご)様にも(むらさき)(うえ)にもお教えにならなかった。
(おんな)(さん)(みや)様が練習なさっていると知った女御様は、聞いてみたくて(さと)()がりなさる。
同じ建物の西側から聞こえてくるめずらしい音色に女御様は魅了(みりょう)されて、
<どうして私には教えてくださらなかったのだろう>
と残念にお思いになる。

冬の月を世間は嫌うけれど、源氏の君はお好きでいらっしゃる。
美しい雪の光のなかで、女房(にょうぼう)たちにも楽器を担当させて小さな音楽会をなさる。
年末は紫の上は新年の準備でお忙しい。
「年が明けましたら、のんびりとした夕方などに、私も姫宮様の琴を聞かせていただきとうございます」
ほがらかにおっしゃっているうちに新しい年になった。