図書館のあるじさま!~読書ぎらいのわたしが図書委員になったら分類男子のあるじになりました!~

 図書館で総玖くんから図書館の話を聞いて数日が経った。
 放課後は夏樹ちゃんに誘われて放送部の見学に行ったり、美術部や書道部、茶道部、卓球部といった他の部活も見に行ったりしたけれど、どうしてもやりたいものが見つからなかった。
 そろそろ部活動を決めなくちゃいけないと思いつつも、どうしても考えてしまうのは総玖くんたち「ビブリティカ」のこと。
 あれから図書館には行っていないけど、他の図書委員の中に「ビブリティカ」のあるじになれる人がいればいいな。
 その日の朝もキーンコーンカーンコーンと朝読書の時間の終わりを告げる鐘が鳴ると、クラスメイトたちが一斉に本を閉じる。
 ようやく退屈な時間が終わったというように肩を回す人もいれば、さっさと学級文庫に本を仕舞ってしまう人も。
 わたしも学級文庫から適当に借りてきたアリの生態やくらしに関する本を棚に仕舞ったところで、国下先生が「席に着け」と出席簿を持って教室に入ってきたのだった。

「今日の放課後は初めての委員会活動の時間だ。委員会に入っている奴らは忘れずに参加しろよ。さぼったら先生の耳にも入るからな」

 やる気のない「は~い」の声が教室中に響く。
 ちなみに委員会は各クラス男女一人ずつの二人一組なんだけど、わたしと一緒に図書委員の担当になったクラスメイトは一度も学校に来ていない。なんでも春休み中に急性虫垂炎っていう病気で急に手術することになって、今も病院に入院しているとか。
 早ければ五月のゴールデンウイーク明けには学校に来るかもってことだけど、それまではわたし一人で図書委員をしなきゃならないんだよね。
 ということで、放課後の委員会活動も図書委員はわたし一人で参加することになる。他のクラスの図書委員と上手くやれるかな。ドキドキしちゃう。

「ちなみに高等部の委員との顔合わせは六月だ。高等部は四月末から各部活動で大会があるからな。今月と来月は中等部だけの集まりだ。二年生や三年生に負けるなよ」

 そんな国下先生の言葉に「先生、ケンカじゃないんですからっ!」と誰かがツッコミを入れて笑いが起こる。
 委員会活動や部活動は高等部との合同って聞いていたから、入学したばかりのわたしたち中等部一年生はしっかり高等部の先輩たちの言うことを聞かないとね。

「じゃあ、朝の会を始めるぞ。まずは出席からな」

 そう言って国下先生が出席簿を読み上げる。自分の名前が呼ばれるまで、わたしは窓から見えるドームの形をした古い建物の図書館を見つめた。
 図書委員会は図書館で打ち合わせを行うって聞いているから、今日の放課後は図書館に行くことになる。図書館、つまり「ビブリティカ」の総玖くんたちとまた会うということ。
 あるじになるかなんて決めていない。またあるじになってって頼まれたらどう返事をしよう。

(みんなの期待を裏切るみたいで、憂うつだよ……)

 自分以外にも「ビブリティカ」のあるじ候補がいるのなら気が楽だけど、わたししかいないって言われたらすぐに決められない。それに「ビブリティカ」たちの未来がかかっているなんて言われたら、そんなの責任重大でますます悩んじゃうよ。
 心聖くんの言う通り、生半可なら気持ちであるじになんてなれないから。
 わたしは誰にもバレないように小さく息を吐き出す。こういう時に限って、一日はあっという間に過ぎていったのだった。

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