図書館のあるじさま!~読書ぎらいのわたしが図書委員になったら分類男子のあるじになりました!~

「最初にここに来た時より、表情が明るくなったな」
「えっ……そうかな……?」

 ペタペタと自分の頬を触るけれども、全然わからない。もしかして総玖くんたちを見ていて、終始ニヤニヤと笑ってた?
 
「自分じゃ気付かないかもしれないけど、今のあんたはすっげー生き生きしてる。熱中できるものができたみたいに活気に溢れてる」
「熱中……しているのかな。でもこうやって『ビブリティカ』のみんなから本や図書館について教わったり、イベントを考えたりするのはすっごく楽しい。相変わらず本は全然読めないんだけどね」
「それでいいんだよ。きっかけはイベントや『ビブリティカ』(オレたち)でも、図書館に来てさえくれるなら、いつか本を読みたいって思うかもしれない。周りに影響されてとか、気になって簡単な本から読もうという気になるだろう」
「そういうものなのかな……?」

 自信満々な総玖くんにわたしは首を傾げるものの、総玖くんは片手で自分の胸を叩いたのだった。
 
「もし本を読みたくなったら、オレが力を貸してやる。あんたらが読みたいって本を見つけるからな。図書館のことは『0類』のオレに任せろってんだ!」
「頼もしいね」

 クスクスと笑っていると、不意に総玖くんはわずかに膝を曲げてわたしの顔を覗き込んでくる。
 クラスの男子にいないタイプのキラキラしたイケメンの総玖くんが真面目な顔で顔を寄せたから、心臓がドキドキと音を立てちゃう。
 静かな図書館に響かないかな。緊張する……。
 
「だからさ……文は『0類』(オレ)だけを読んでくれよな」

 まるで愛の告白のような言葉にどう返したらいいのかわからなくて、「えっーと」とか「その……』って口ごもっていると、総玖くんが「なんだよ、その顔!」って吹いたのだった。

「あるじはオレたち『ビブリティカ』について知ってもらわなきゃ困るからなっ! 慣れるまではオレもフォローするけど、いずれはオレたちのあるじとして一緒に図書館を盛り上げてくれよなっ!」
「わかった。これからよろしくね!」
「おう! まずはお疲れ様、あるじ!」

 総玖くんが伸ばした拳に私も拳をぶつけて、そうして笑い合う。
 まだまだ先は長いけれども、なんとなく「ビブリティカ」のみんなとなら、なんでもできるような気がした。
 まだ図書館の取り壊しが無くなったわけじゃないけど、今だけは今回の図書館お宝探しツアーの成功を、「ビブリティカ」のみんなと分かち合ったのだった。

 了