図書館のあるじさま!~読書ぎらいのわたしが図書委員になったら分類男子のあるじになりました!~

「あんたと契約してから、前よりツグ兄が明るくなったのは知ってる。勿論、チビサクも。素直になるのは恥ずかしかったけど、君には感謝している。もうおれたちはこのまま誰にも知られないまま消えるだけだと思っていたから」
「じゃあ……!」
「でも今だけだからね! 君が卒業するまでに何も変わらなかったら、許さないから! その時は責任を取ってよね!」

 そうして心聖くんは音も無くふわりと棚から降りると、わたしの目の前に着地する。そしてわたしの額に軽くキスをしたのだった。
 最初こそぽかんとしたけれども、やがて顔が真っ赤に染まってしまう。歴彦さんの時にも覚えがあるけど、これって契約のあかしってこと!?

「心聖くん!?」
「そんなに驚くこともないでしょ? すでにツグ兄やチビサクとも契約してあるじになっているみたいだし!」

 わたしが頬を押さえている間に、心聖くんは片手を振って床に落ちていた本を棚に戻してくれる。やっぱり『1類』の本を戻せるのは、心聖くんだけみたい。

「でっ、でも。歴彦さんはともかくとして総玖くんのあるじになった覚えはないんだけど……!」
「そうなの? 君が委員会の集まりで図書館に来た時はあるじになっていたみたいだけど」
「ええ。私と契約した時はすでに総玖さんのあるじになられていたので、てっきり二人の間であるじの話をして契約したとばかり思っていましたが……額に親愛のキスが契約のあるじですが、総玖さんから聞いていませんか?」
「君とチビサクが契約をしていたから、チビサクは君の家にまでついて行ったと思っていたけど。あるじについて図書館の外に出られるのは、契約した『ビブリティカ』だけなんだけど」
「そんなことは……あっ!」

 思い出せば、歴彦さんと心聖くんから「ビブリティカ」の説明を受けた後、「0類」の棚で総玖くんと会ったけれど、その時にゴミが付いていたとか言われて頭に触れられたっけ。
 あの時にもしかしてゴミを取るフリをして、キスされていたの!?

「さ、総玖くん……!?」
 
 あたふたしながら総玖くんを振り返ると、総玖くんは逃げようとしていたのか背中を向けて逃げようとしていた。
 そこでわたしが「総玖くん……!」と肩を掴めば、総玖くんは目を逸らしながら話し始める。

「せっかくあるじ候補が来たっていうのに、逃がすわけないだろう! こいつの意思とは関係なくあるじの契約を交わしてしまえばこっちのもんだって! それでこいつが歴彦たちのところに来た時に交わしたんだよ。運よく二人きりになれたからなっ!」
「だからって、勝手にしないでよ! もう勝手に触るの禁止!!」

 耳まで赤くなって叫ぶと心聖くんが笑って、次いで歴彦さんが笑顔になる。
 そして総玖くんまでも声を上げて笑い始めたので、わたしは頬をぷくりと膨らませたのだった。