『図書委員会からのお知らせです。本日より図書館ではイベントを開始します』
『名付けて、「探せ! 図書館お宝探しツアー!一攫千金はすぐそこに!?」だ。図書館内に隠されたお宝を全て見つけると景品がもらえる』
『中等部も高等部も関係なく、本が好きな人でもそうじゃない人でも誰でも自由に参加できます! 皆さんぜひご参加ください』
『以上! 図書委員会からのお知らせだ!』
昼休みの図書館内に校内放送が入ったかと思えば、聞き取りやすい温品先輩と豪快な田部先輩のお知らせが響き渡る。
今日から歴彦さんの案と総玖くんのアドバイスを元にわたしが提案したイベントが始まる。
人が来てくれるか心配で、心臓は数日前からずっとバクバクと緊張したままだった。
「いよいよだね」
イベントのお手伝いで駆けつけてくれた上野さんが声を掛けてくれる。
今回のイベントのお手伝いをお願いした時に、上野さんは快く引き受けてくれた。大学部の図書館だって春先は新入生の対応で忙しいだろうに、そんな様子は全く感じさせない。
そんな上野さんの言葉にカウンターに座っている司書の田中さんも、ニコニコと笑顔を浮かべて頷いてくれる。
田中さんもイベントの準備のために、遅くまで図書館を開放してくれて、必要な道具やイベントの景品を用意してくれた。田部先輩を始めとする他の図書委員も協力してくれて、国下先生からは高等部の図書委員たちもイベントを一緒に盛り上げてくれると約束してくれたことを教えてくれた。
無理かもしれないと思っていたイベントが、みんなのおかげで開催できた。
このチャンスを絶対ムダにしたくない!
「文さん、緊張していますね……」
「そうだな……少し活を入れるか。ちょっとこっちに来い」
カウンターから少し離れた本棚の影から歴彦さんと総玖くんたちの声が聞こえてきたかと思えば、総玖くんに呼ばれる。
急にわたしがカウンターから外に出たからか、上野さんと田中さんは「おやっ」という顔をしたが、わたしが『ビブリティカ』と会話できることを知っている二人は何も言わなかった。
おずおずと総玖くんたちのところに向かうと、総玖くんに両頬をつねられたのだった。
「にゃにしゅるの!?」
「あんたがここまでみんなを動かしたんだ。そんなあんたがそんな怖い顔をしてどうするんだ? ほら、頬の力を抜けって」
そう言って、今度はつまんでいた両頬を包んでぐちゃぐちゃと混ぜるように手を上下左右に動かす。
されるがままになっていたけれども、総玖くんの「変な顔だな」という言葉でハッとして顔を真っ赤にして怒ったのだった。
「もう! 誰のせいでこうなったと思うの!?」
「はははっ! いい顔だな! それでこそ、オレたちの文だよ」
「笑わないでよっ! 総玖くんってば、いっつもこう……」
そこまで言いかけて、ふと気付く。いま総玖くんに初めて名前で呼ばれた?
いっつも「あんた」ってえらそうに呼ばれていたから気にしていなかったけれども、危うく聞き逃すところだった。
キョトンとしていると、今度はわたしの肩を包むように「大丈夫ですよ」と歴彦さんが優しく声を掛けてくれる。
「この短時間で文さんはイベントを開催させることができたのです。それは多くの人の心を掴んだということでもあります」
「歴彦さん……」
「きっと皆さん楽しんで参加してくれると思います。図書館は本を読むだけの場所じゃない。人と人との出会いの場所でもある。よくぞ気付いてくれました」
「いっ、いえ! それは総玖くんがヒントをくれたから思い付いただけで……」
自室で総玖くんと話した時に聞いた「図書館は人と人との出会いの場」という言葉で、ピンときたんだ。
それで歴彦さんが教えてくれた「図書館に人を呼ぶ案」をちょっとだけ変えたんだけれど、それが田部先輩や温品先輩を始めとする図書委員や国下先生から好評だったの。
「このイベントが成功するように、私と総玖さんも力を貸します。そうですね? 総玖さん」
「ああ。オレたちも力を貸すぜ! 一緒に図書館に人を呼ぼう」
「うんっ!」
「十司さん、最初のお客さんが来たよー!」
上野さんに呼ばれてカウンターに戻ると、そこには夏樹ちゃんを始めとするクラスメイトたちが数人来ていたのだった。
『名付けて、「探せ! 図書館お宝探しツアー!一攫千金はすぐそこに!?」だ。図書館内に隠されたお宝を全て見つけると景品がもらえる』
『中等部も高等部も関係なく、本が好きな人でもそうじゃない人でも誰でも自由に参加できます! 皆さんぜひご参加ください』
『以上! 図書委員会からのお知らせだ!』
昼休みの図書館内に校内放送が入ったかと思えば、聞き取りやすい温品先輩と豪快な田部先輩のお知らせが響き渡る。
今日から歴彦さんの案と総玖くんのアドバイスを元にわたしが提案したイベントが始まる。
人が来てくれるか心配で、心臓は数日前からずっとバクバクと緊張したままだった。
「いよいよだね」
イベントのお手伝いで駆けつけてくれた上野さんが声を掛けてくれる。
今回のイベントのお手伝いをお願いした時に、上野さんは快く引き受けてくれた。大学部の図書館だって春先は新入生の対応で忙しいだろうに、そんな様子は全く感じさせない。
そんな上野さんの言葉にカウンターに座っている司書の田中さんも、ニコニコと笑顔を浮かべて頷いてくれる。
田中さんもイベントの準備のために、遅くまで図書館を開放してくれて、必要な道具やイベントの景品を用意してくれた。田部先輩を始めとする他の図書委員も協力してくれて、国下先生からは高等部の図書委員たちもイベントを一緒に盛り上げてくれると約束してくれたことを教えてくれた。
無理かもしれないと思っていたイベントが、みんなのおかげで開催できた。
このチャンスを絶対ムダにしたくない!
「文さん、緊張していますね……」
「そうだな……少し活を入れるか。ちょっとこっちに来い」
カウンターから少し離れた本棚の影から歴彦さんと総玖くんたちの声が聞こえてきたかと思えば、総玖くんに呼ばれる。
急にわたしがカウンターから外に出たからか、上野さんと田中さんは「おやっ」という顔をしたが、わたしが『ビブリティカ』と会話できることを知っている二人は何も言わなかった。
おずおずと総玖くんたちのところに向かうと、総玖くんに両頬をつねられたのだった。
「にゃにしゅるの!?」
「あんたがここまでみんなを動かしたんだ。そんなあんたがそんな怖い顔をしてどうするんだ? ほら、頬の力を抜けって」
そう言って、今度はつまんでいた両頬を包んでぐちゃぐちゃと混ぜるように手を上下左右に動かす。
されるがままになっていたけれども、総玖くんの「変な顔だな」という言葉でハッとして顔を真っ赤にして怒ったのだった。
「もう! 誰のせいでこうなったと思うの!?」
「はははっ! いい顔だな! それでこそ、オレたちの文だよ」
「笑わないでよっ! 総玖くんってば、いっつもこう……」
そこまで言いかけて、ふと気付く。いま総玖くんに初めて名前で呼ばれた?
いっつも「あんた」ってえらそうに呼ばれていたから気にしていなかったけれども、危うく聞き逃すところだった。
キョトンとしていると、今度はわたしの肩を包むように「大丈夫ですよ」と歴彦さんが優しく声を掛けてくれる。
「この短時間で文さんはイベントを開催させることができたのです。それは多くの人の心を掴んだということでもあります」
「歴彦さん……」
「きっと皆さん楽しんで参加してくれると思います。図書館は本を読むだけの場所じゃない。人と人との出会いの場所でもある。よくぞ気付いてくれました」
「いっ、いえ! それは総玖くんがヒントをくれたから思い付いただけで……」
自室で総玖くんと話した時に聞いた「図書館は人と人との出会いの場」という言葉で、ピンときたんだ。
それで歴彦さんが教えてくれた「図書館に人を呼ぶ案」をちょっとだけ変えたんだけれど、それが田部先輩や温品先輩を始めとする図書委員や国下先生から好評だったの。
「このイベントが成功するように、私と総玖さんも力を貸します。そうですね? 総玖さん」
「ああ。オレたちも力を貸すぜ! 一緒に図書館に人を呼ぼう」
「うんっ!」
「十司さん、最初のお客さんが来たよー!」
上野さんに呼ばれてカウンターに戻ると、そこには夏樹ちゃんを始めとするクラスメイトたちが数人来ていたのだった。



