「分類の数字にはそれぞれ意味があるっているのは歴彦から聞いているだろう? 食べ物にしろ機械にしろ、目的ごとにさらに本を分けることで、図書館で働いている司書も、本を借りる利用者もさらに探しやすくなるんだよ」
「全ての本が『0』とか『1』の本じゃないのは、本を分かりやすく整理するための工夫ってことなんだね」
「ああ。『0』や『1』の中でもさらに数字を振って細かく分ける――分類することで、本はもっと探しやすくなる。『分類』ってのは、『たくさんある本を誰でもわかりやすく、探しやすくする』ためにあるようなものだからな」
総玖くんに「スーパーもそうだろう?」と聞かれて、ママとよく行くスーパーを思い出してみる。
野菜売り場の中だけでも野菜の種類や品種、産地ごとに分かれている。
それが分けられていなかったからどうだろう。野菜がぐちゃぐちゃに置かれていたら、買い物に来た人は探しづらいよね。
「『分類』ってのは、ただ本を内容ごとに分けるだけじゃない。誰でもわかりやすくて使いやすいようにする意味もあるんだ」
「誰でもわかりやすくて使いやすい……」
「文? 誰かと会話しているのかい?」
部屋の外から急にパパの声が聞こえてきて、びっくりしたわたしは慌てて総玖くんの顔にクッションを当てる。総玖くんは「もがもがっ!」と何か言っていたけど、それを無視して「電話しているのっ!」とパパに返事をする。
(そういえば、今日は出版社の人と会うからって、パパの帰りが遅いんだった……!)
壁に掛けている時計を見上げれば、いつの間にかすっかり遅い時間。早寝早起きのママはもう寝ていてもおかしくないけど、わたしと入れちがいに出掛けたパパはいま帰ってきたのかもしれない。
パパが部屋に入って来たらどうしようかと思っていたけど、パパは「そう?」と返しただけだった。
「もう遅い時間だから早く寝なさい。明日も学校たろう?」
「うん。そうする! パパもゆっくり休んでね」
パパの足音が遠ざかると、遠くで部屋のドアが開閉する音が聞こえる。パパも自分の部屋に戻ったみたい。
ほっと肩の力を抜いて腕を下ろすと、目の前の総玖くんはすっかり頬を膨らませていたのだった。
「なにするんだよっ!」
「ごめんごめん! パパに声を掛けられたからつい……」
「ったく。オレたちの姿や声はあるじ以外には聞こえないっていうのに……」
言われてそういえばそうだったと気付いたものの、総玖くんはすねたままだった。もう一度「ごめんね」と謝ったけれども、もう目も合わせてくれない。
「でも、 あんたの父親の言う通り、もう遅い時間だな。そろそろ休め」
「うん。色々ありがとう、総玖くん」
「……大したことじゃない」
そうして総玖くんは空気に溶けるように消えてしまった。わたしが借りてきた「0類」の本に戻ったのかな。
わたしは「うーん」と背中を伸ばすと、パソコンの電源を落とす。
そして暗くなった画面に映った自分の顔を見つめながら呟いたのだった。
「ぜったいにイベントを成功させるんだ!」
「全ての本が『0』とか『1』の本じゃないのは、本を分かりやすく整理するための工夫ってことなんだね」
「ああ。『0』や『1』の中でもさらに数字を振って細かく分ける――分類することで、本はもっと探しやすくなる。『分類』ってのは、『たくさんある本を誰でもわかりやすく、探しやすくする』ためにあるようなものだからな」
総玖くんに「スーパーもそうだろう?」と聞かれて、ママとよく行くスーパーを思い出してみる。
野菜売り場の中だけでも野菜の種類や品種、産地ごとに分かれている。
それが分けられていなかったからどうだろう。野菜がぐちゃぐちゃに置かれていたら、買い物に来た人は探しづらいよね。
「『分類』ってのは、ただ本を内容ごとに分けるだけじゃない。誰でもわかりやすくて使いやすいようにする意味もあるんだ」
「誰でもわかりやすくて使いやすい……」
「文? 誰かと会話しているのかい?」
部屋の外から急にパパの声が聞こえてきて、びっくりしたわたしは慌てて総玖くんの顔にクッションを当てる。総玖くんは「もがもがっ!」と何か言っていたけど、それを無視して「電話しているのっ!」とパパに返事をする。
(そういえば、今日は出版社の人と会うからって、パパの帰りが遅いんだった……!)
壁に掛けている時計を見上げれば、いつの間にかすっかり遅い時間。早寝早起きのママはもう寝ていてもおかしくないけど、わたしと入れちがいに出掛けたパパはいま帰ってきたのかもしれない。
パパが部屋に入って来たらどうしようかと思っていたけど、パパは「そう?」と返しただけだった。
「もう遅い時間だから早く寝なさい。明日も学校たろう?」
「うん。そうする! パパもゆっくり休んでね」
パパの足音が遠ざかると、遠くで部屋のドアが開閉する音が聞こえる。パパも自分の部屋に戻ったみたい。
ほっと肩の力を抜いて腕を下ろすと、目の前の総玖くんはすっかり頬を膨らませていたのだった。
「なにするんだよっ!」
「ごめんごめん! パパに声を掛けられたからつい……」
「ったく。オレたちの姿や声はあるじ以外には聞こえないっていうのに……」
言われてそういえばそうだったと気付いたものの、総玖くんはすねたままだった。もう一度「ごめんね」と謝ったけれども、もう目も合わせてくれない。
「でも、 あんたの父親の言う通り、もう遅い時間だな。そろそろ休め」
「うん。色々ありがとう、総玖くん」
「……大したことじゃない」
そうして総玖くんは空気に溶けるように消えてしまった。わたしが借りてきた「0類」の本に戻ったのかな。
わたしは「うーん」と背中を伸ばすと、パソコンの電源を落とす。
そして暗くなった画面に映った自分の顔を見つめながら呟いたのだった。
「ぜったいにイベントを成功させるんだ!」



