「ずっと家に居て同じことを繰り返していたら気が滅入って元気がなくなるからな。誰もが気軽に出掛けられる場所、人同士が集まれて交流できるように環境を提供するのも図書館が存在する理由の一つなんだ。あんただって覚えがあるだろう。図書委員として図書館に来なければオレたちと出会わなかったし、学年がちがう同じ図書委員の奴らとも知り合えなかった」
言われてみれば、わたしも図書委員にならなければ図書館に来なかっただろうから、総玖くんたち「ビブリティカ」と出会わなかったし、温品先輩や田部先輩たち他の学年の人たちも知らないままだった。
図書館が人と人の出会いの場所というのも、あながちまちがっていないのかも。
「図書館って不思議だね。本をきっかけに人と知り合えたり、勉強の役にも立ったり。本を読むだけの場所じゃないんだね」
「そういうことだ。で、どんなイベントにするんだ?」
「誰でも気軽に参加してほしいから、図書館に関するクイズとか◯×問題にしようかなって思ったの。図書委員がヒントを出したりをしたり答え合わせをしたりして」
ベッドの上で足を組んでクッションを両手で抱えながら、総玖くんはうんうんと何度も頷いてくれる。
それがどこか嬉しいような恥ずかしい気持ちになって、心がくすぐったい。
「全問正解した人には何かプレゼントを用意した方が参加してくれる人が増えると思うけど、何がいいか思いつかないの。何かいい考えはないかな?」
「それなら司書の田中に相談するといいぜ」
「田中さんに?」
どういう意味だろうと首を傾げるけれども、総玖くんは自信があるというように胸を張って話してくれる。
「図書館に置いている本は田中が選んで学校の金で買っているんだ。そして本の中にはサービスで『おまけ』が付いてくることもある。それを管理しているのも田中だ」
「本の……『おまけ』?」
「あんたも付録付きの雑誌なら見たことがあるだろう。本を買うと一緒にポスターやしおりといった文房具や、ポーチ、バッグといった小物類。あとは本状の小さなカタログだな」
それならわたしも漫画の雑誌で見たこもあるかも。
本を買うとペンや下敷き、テープといった文房具や、かわいい小物入れや薄手のミニバッグといった付録が付いていることがあるんだよね。
最近は付録目当てで買う人がいるくらい、デザインや使い勝手に力を入れているものが多いの。
書店で働いているママもたまに「付録がほしいから」って雑誌を買ってくることがあるくらい。
「図書館の事務室にはそういったものがたくさん保管されているんだ。勝手に処分できないから溜まるんだってさ。ようやく学園が許可してくれたから今回の図書館の取り壊しの時に思い切って捨てるって話していたし、頼んだら分けてもらえるんじゃないか」
「なっ、なるほど……」
「ダメって言われた時は、図書委員で手分けして手作りのしおりやブックカバーといった小物を配るのもありじゃないか。昔の人の格言とか四字熟語とかプリントアウトしてさ。いかにも勉強の役にも立ちますって先生たちにアピールするのもいいな」
忘れないうちに総玖くんのアイディアをメモする。
本当はそのままパソコンに打ち込めれば楽だけど、タイピングが苦手だから遅いんだよね。
あとで文章をまとめてパソコンに入力しよう。
「あと誰でも気軽に参加できるクイズや◯×問題ってことだけどさ。難易度ごとに問題を作った方がいい。簡単すぎてもやりごたえを感じないだろうし、難しすぎても途中で投げ出す奴もいるだろう。最初に簡単な問題と難しい問題のどっちにするか聞いて解答用紙を渡すとか工夫した方がいい」
「難易度別に問題を用意するっと……」
「それから手軽さを出すつもりなら、なるべく問題は同じフロア内で固めた方がいいぞ。螺旋階段の昇り降りが面倒に思う奴もいるし、休み時間にまで運動したくない奴もいるからな 」
「そんなに言われてもメモが追いつかないよ……」
わたしがあたふたとペンを走らせてメモをしていると、総玖くんは大きなため息を吐いてパソコンのキーを叩き始める。
そしてわたしがメモを取り終わるのとほぼ同時くらいに「ほらよ」とさっき話してくれたアドバイスをまとめてくれていたのだった。
「多少は打ちまちがいがあるかもしれないけど、簡潔にまとめておいた。あとは自分で直せ」
「ありがとう……総玖くん、すごいね!」
「まあな。パソコンに関する本は『0類』にあるんだ。『007』の『情報科学』にな。『0類』ってのは、どこにも分類できないものを集めているところがあるから」
「パソコンって機械だよね? それなのに『5類』の『技術』じゃなくて『0類』なんだ」
「おっ! いいところに気づいたな! 図書館の分類ってのは内容や目的ごとに分類が変わるんだよ。パソコンの場合だと、パソコンの構造や作り方そのものを知りたいのなら、『5類』の『電気工学』になるけど、パソコンの使い方は『0類』の『情報科学』になるんだ」
たとえばニンジンに関する本の場合、ニンジンを使った料理の作り方やレシピの本は「5類」の「596」の「食品・料理」になるけど、ニンジンの育て方は「6類」の「626」の「野菜」になる。
その「626」の中でもニンジンの由来や歴史はさらに分かれるから、同じものでも「何を」知りたいかによって本の分類は変わってくるんだって。
言われてみれば、わたしも図書委員にならなければ図書館に来なかっただろうから、総玖くんたち「ビブリティカ」と出会わなかったし、温品先輩や田部先輩たち他の学年の人たちも知らないままだった。
図書館が人と人の出会いの場所というのも、あながちまちがっていないのかも。
「図書館って不思議だね。本をきっかけに人と知り合えたり、勉強の役にも立ったり。本を読むだけの場所じゃないんだね」
「そういうことだ。で、どんなイベントにするんだ?」
「誰でも気軽に参加してほしいから、図書館に関するクイズとか◯×問題にしようかなって思ったの。図書委員がヒントを出したりをしたり答え合わせをしたりして」
ベッドの上で足を組んでクッションを両手で抱えながら、総玖くんはうんうんと何度も頷いてくれる。
それがどこか嬉しいような恥ずかしい気持ちになって、心がくすぐったい。
「全問正解した人には何かプレゼントを用意した方が参加してくれる人が増えると思うけど、何がいいか思いつかないの。何かいい考えはないかな?」
「それなら司書の田中に相談するといいぜ」
「田中さんに?」
どういう意味だろうと首を傾げるけれども、総玖くんは自信があるというように胸を張って話してくれる。
「図書館に置いている本は田中が選んで学校の金で買っているんだ。そして本の中にはサービスで『おまけ』が付いてくることもある。それを管理しているのも田中だ」
「本の……『おまけ』?」
「あんたも付録付きの雑誌なら見たことがあるだろう。本を買うと一緒にポスターやしおりといった文房具や、ポーチ、バッグといった小物類。あとは本状の小さなカタログだな」
それならわたしも漫画の雑誌で見たこもあるかも。
本を買うとペンや下敷き、テープといった文房具や、かわいい小物入れや薄手のミニバッグといった付録が付いていることがあるんだよね。
最近は付録目当てで買う人がいるくらい、デザインや使い勝手に力を入れているものが多いの。
書店で働いているママもたまに「付録がほしいから」って雑誌を買ってくることがあるくらい。
「図書館の事務室にはそういったものがたくさん保管されているんだ。勝手に処分できないから溜まるんだってさ。ようやく学園が許可してくれたから今回の図書館の取り壊しの時に思い切って捨てるって話していたし、頼んだら分けてもらえるんじゃないか」
「なっ、なるほど……」
「ダメって言われた時は、図書委員で手分けして手作りのしおりやブックカバーといった小物を配るのもありじゃないか。昔の人の格言とか四字熟語とかプリントアウトしてさ。いかにも勉強の役にも立ちますって先生たちにアピールするのもいいな」
忘れないうちに総玖くんのアイディアをメモする。
本当はそのままパソコンに打ち込めれば楽だけど、タイピングが苦手だから遅いんだよね。
あとで文章をまとめてパソコンに入力しよう。
「あと誰でも気軽に参加できるクイズや◯×問題ってことだけどさ。難易度ごとに問題を作った方がいい。簡単すぎてもやりごたえを感じないだろうし、難しすぎても途中で投げ出す奴もいるだろう。最初に簡単な問題と難しい問題のどっちにするか聞いて解答用紙を渡すとか工夫した方がいい」
「難易度別に問題を用意するっと……」
「それから手軽さを出すつもりなら、なるべく問題は同じフロア内で固めた方がいいぞ。螺旋階段の昇り降りが面倒に思う奴もいるし、休み時間にまで運動したくない奴もいるからな 」
「そんなに言われてもメモが追いつかないよ……」
わたしがあたふたとペンを走らせてメモをしていると、総玖くんは大きなため息を吐いてパソコンのキーを叩き始める。
そしてわたしがメモを取り終わるのとほぼ同時くらいに「ほらよ」とさっき話してくれたアドバイスをまとめてくれていたのだった。
「多少は打ちまちがいがあるかもしれないけど、簡潔にまとめておいた。あとは自分で直せ」
「ありがとう……総玖くん、すごいね!」
「まあな。パソコンに関する本は『0類』にあるんだ。『007』の『情報科学』にな。『0類』ってのは、どこにも分類できないものを集めているところがあるから」
「パソコンって機械だよね? それなのに『5類』の『技術』じゃなくて『0類』なんだ」
「おっ! いいところに気づいたな! 図書館の分類ってのは内容や目的ごとに分類が変わるんだよ。パソコンの場合だと、パソコンの構造や作り方そのものを知りたいのなら、『5類』の『電気工学』になるけど、パソコンの使い方は『0類』の『情報科学』になるんだ」
たとえばニンジンに関する本の場合、ニンジンを使った料理の作り方やレシピの本は「5類」の「596」の「食品・料理」になるけど、ニンジンの育て方は「6類」の「626」の「野菜」になる。
その「626」の中でもニンジンの由来や歴史はさらに分かれるから、同じものでも「何を」知りたいかによって本の分類は変わってくるんだって。



