(これって……)
身体から血の気が引いたところで、上野さんがパチパチと両手を叩いて注目を集める。
「みなさんにプリントが行き渡ったようなので、ボクから説明します。今年から新しく始まる図書委員の仕事は、『図書館の取り壊しに備えた図書の移動作業』です」
「図書館。無くなっちゃうんですか……?」
二年生の席から戸惑う声が聞こえれば、上野さんの後ろに控えていた国下先生が「そうだ」と眉間に皺を寄せながら厳しい顔で答える。
「この図書館ももう古いからな。今の時代に合わせてオシャレで高級感のある図書館に改装する計画があるんだ。実際に取り壊すのはまだまだ先ではっきり決まったわけじゃないが、今年から少しずつ用意を始めることになった」
上野さんから渡されたプリントには国下先生がいま説明した図書館の取り壊しと、新しい図書館に建て直しに関するスケジュールが詳しく書かれていた。
これから数年掛けて図書館の本を少しずつ他の場所に移動させて、すっかり本や閲覧用の机と椅子、本棚も無くなったところで図書館を壊して、そこに新たな図書館を建てるとのことであった。
「大学の図書館に置かせてもらえることになったから、とりあえず事務室と併設する書庫にある本から移動させるぞ。表に出ている本は最後だ。読む人が少ない本から運ぶ。大学には先生たちが運ぶから、図書委員は箱詰めを手伝ってくれればいい」
「読まれない本なら捨てたっていいんじゃないんですか? うちは読まなくなった本はすぐに母ちゃんが資源回収に出していますよ」
またしても二年生から質問が出たが、「それはできないんだ」と即座に首を振ったのは上野さんだった。
「図書館の本は簡単には捨てられなくてね。本を捨てる基準があって、その条件に合った本である必要になるんだ。みんなが生まれる昔にも図書館の本を勝手に捨てた司書さんがいてね。その時は裁判にもなるくらい問題になったんだ」
「本を捨てる基準ですか?」
「図書館にも図書館法って法律があって、その中には図書館で購入する本や図書館を運営する決まり以外に本を捨てる時の基準があるんだ。その基準を満たしていない本を勝手に捨てた司書さんは犯罪者として裁判で裁かれることになったんだ」
上野さんの話によると、図書館の本を捨てる際にはその本が図書館の本を捨てる決まりに該当する本か何人もの人たちで確認する必要がある。
一番多いのはその本を壊したり汚されたりしてしまった時、他の人には貸せないからその本を捨てることになるんだって。
他にもさっき先輩たちと話した蔵書点検で行方不明になった本や法律が変わって内容が古くなった本、地震や火事といった自然災害で直せないくらい壊れた本も本を捨てる基準になるんだって。
「今回移動する本は図書館の本を捨てる決まりに合わない本だから、新しい図書館でも使うことになるんだ。そしていずれは電子データにして図書館に来なくても、各自のスマホやパソコン室のパソコンから読めるようにする。そこでようやく本を減らすことができるわけだ」
ちなみに電子データにした本でも図書館に残した方が良いという本は引き続き図書館に置いて、大学の図書館に移動させる本もあるんだって。
だから捨てる本はうんと少なくなるとか。
「図書館の移転作業については今後の図書委員会の集まりで説明するから、まずは図書当番を忘れるな。それじゃあ解散」
国下先生の言葉で委員会が終わった途端に、部活動や電車時間があるからと、先輩たちは足早にコワーキングスペースを出て行く。
他の一年生たちも帰ってしまうと残されたわたしは帰りづらくて、なんとなくコワーキングスペースに残っていた。
すると国下先生と別れた上野さんが「十司さん」と声を掛けてきたのだった。
「十司さんはこの後に部活か何かある? 無ければ、ちょっと付き合ってくれないかな。久しぶりに母校の図書館を見たくてね」
「分かりました……」
カバンを持って上野さんの後に続いてコワーキングスペースを出ると、螺旋階段を昇って二階に向かう。
図書館の二階には「3類」から「6類」までの本とCDやDVDが並んでいて、更にはCDやDVDを視聴できるテレビが置いてあるんだよね。
身体から血の気が引いたところで、上野さんがパチパチと両手を叩いて注目を集める。
「みなさんにプリントが行き渡ったようなので、ボクから説明します。今年から新しく始まる図書委員の仕事は、『図書館の取り壊しに備えた図書の移動作業』です」
「図書館。無くなっちゃうんですか……?」
二年生の席から戸惑う声が聞こえれば、上野さんの後ろに控えていた国下先生が「そうだ」と眉間に皺を寄せながら厳しい顔で答える。
「この図書館ももう古いからな。今の時代に合わせてオシャレで高級感のある図書館に改装する計画があるんだ。実際に取り壊すのはまだまだ先ではっきり決まったわけじゃないが、今年から少しずつ用意を始めることになった」
上野さんから渡されたプリントには国下先生がいま説明した図書館の取り壊しと、新しい図書館に建て直しに関するスケジュールが詳しく書かれていた。
これから数年掛けて図書館の本を少しずつ他の場所に移動させて、すっかり本や閲覧用の机と椅子、本棚も無くなったところで図書館を壊して、そこに新たな図書館を建てるとのことであった。
「大学の図書館に置かせてもらえることになったから、とりあえず事務室と併設する書庫にある本から移動させるぞ。表に出ている本は最後だ。読む人が少ない本から運ぶ。大学には先生たちが運ぶから、図書委員は箱詰めを手伝ってくれればいい」
「読まれない本なら捨てたっていいんじゃないんですか? うちは読まなくなった本はすぐに母ちゃんが資源回収に出していますよ」
またしても二年生から質問が出たが、「それはできないんだ」と即座に首を振ったのは上野さんだった。
「図書館の本は簡単には捨てられなくてね。本を捨てる基準があって、その条件に合った本である必要になるんだ。みんなが生まれる昔にも図書館の本を勝手に捨てた司書さんがいてね。その時は裁判にもなるくらい問題になったんだ」
「本を捨てる基準ですか?」
「図書館にも図書館法って法律があって、その中には図書館で購入する本や図書館を運営する決まり以外に本を捨てる時の基準があるんだ。その基準を満たしていない本を勝手に捨てた司書さんは犯罪者として裁判で裁かれることになったんだ」
上野さんの話によると、図書館の本を捨てる際にはその本が図書館の本を捨てる決まりに該当する本か何人もの人たちで確認する必要がある。
一番多いのはその本を壊したり汚されたりしてしまった時、他の人には貸せないからその本を捨てることになるんだって。
他にもさっき先輩たちと話した蔵書点検で行方不明になった本や法律が変わって内容が古くなった本、地震や火事といった自然災害で直せないくらい壊れた本も本を捨てる基準になるんだって。
「今回移動する本は図書館の本を捨てる決まりに合わない本だから、新しい図書館でも使うことになるんだ。そしていずれは電子データにして図書館に来なくても、各自のスマホやパソコン室のパソコンから読めるようにする。そこでようやく本を減らすことができるわけだ」
ちなみに電子データにした本でも図書館に残した方が良いという本は引き続き図書館に置いて、大学の図書館に移動させる本もあるんだって。
だから捨てる本はうんと少なくなるとか。
「図書館の移転作業については今後の図書委員会の集まりで説明するから、まずは図書当番を忘れるな。それじゃあ解散」
国下先生の言葉で委員会が終わった途端に、部活動や電車時間があるからと、先輩たちは足早にコワーキングスペースを出て行く。
他の一年生たちも帰ってしまうと残されたわたしは帰りづらくて、なんとなくコワーキングスペースに残っていた。
すると国下先生と別れた上野さんが「十司さん」と声を掛けてきたのだった。
「十司さんはこの後に部活か何かある? 無ければ、ちょっと付き合ってくれないかな。久しぶりに母校の図書館を見たくてね」
「分かりました……」
カバンを持って上野さんの後に続いてコワーキングスペースを出ると、螺旋階段を昇って二階に向かう。
図書館の二階には「3類」から「6類」までの本とCDやDVDが並んでいて、更にはCDやDVDを視聴できるテレビが置いてあるんだよね。



