トラブルメーカー・ストラテジー

「おはよー、今日はいい天気だねー!」

「ねねっ、名前、なんてゆーのー?」

「ねー、なんか趣味とかあったりするー?」

「ねぇ、休みの日とかいつも何してるー?」

「あのさー、私たち友達にならない?」

私が通学中にずーーーっと構い倒している人物。

それはーーー

「ウザい。話しかけてくんな」

下の名前すら教えてくれない漣くんでっす!

「ウザい⁉ ウザかった⁉ ごめんね⁉」

「嘘つけ」

バレたか。

うん、ほんとは「ごめん」なんて思ってません。

ほんとは「やっと答えてくれたーーー!!! イヤッフゥ!!!!!」って思ってます!!

「つれないな〜」

ま、そこが面白いからいいんだけどね。

「そういや少年って何年何組ー?」

「………」

「あ、私ー? 私はーーー」

鬼頭雷羽(きとうらいは)。2年3組」

全てを言い当てられて、驚愕する。

いや、確かに名前は教えたよ? 名前はね?

「え、なんで少年が知ってんの………? 怖………」

「バカは黙ってろ」

「えぇ〜………?」

突然キレられた。

いや、ずっとキレてたか。ウザがってたし。

「アンタ、俺のこと少年って呼んどいて、もし俺のほうが年上だったらどうするわけ?」

「いや、それは絶対にない」

「ざけんなクソ女」

口悪いなー。

まぁ、身長が低めなの気にしてんのかもだけど。

「そんでー? 何年何組なのー?」

「学校に行ったらどうせ分かんだろ」

意味深なことを言うな、少年よ。

通学中から薄々ーーーいやだいぶ思ってたけど、この少年は秘密主義らしい。

私は何を問いかけても、なんも教えてくれないし。

そうこうしているうちに、もう学校に着いてしまった。

あーあ。少年ともっと話してたかったなー。

私は名残惜しさを感じながらも少年と別れた。

◇◇◇

少年と別れた後。

2年3組の教室のドアを開け、クラスメイトに挨拶をしていたときのこと。

ふと、ある人物が目に留まった。

ふわり、と広がる焦げ茶色の髪。
洗練された、どこか余裕さを感じさせる灰紫色の瞳。
周りの男子と比べると、やや低めの身長。

確かに言っていた。ヤツは、確かにそう言った。

『学校に行ったらどうせ分かんだろ』



ーーーそういうことかよ、少年が。



少年はコチラを見て、悪戯っ子のような笑みを浮かべた。

◇◇◇

「少年ー‼ なんで言ってくれなかったのー!?」

1限目終わりの休み時間。

私は速攻、少年の席に駆けつけた。

「クラスメイトの名前を覚えてなかったアンタが悪い」

ぐうの音も出ない、とはまさにこんなときのことを言うのでしょう。

「あの~………ちなみに聞いていい? 何月生まれ?」

「逆に何月だと思う?」

「できれば12月6日の後だとありがたいかなー」

少年―――漣隼人(さざなみはやと)くんは、それを聞いて勝ち誇った笑みを浮かべる。

「俺、4月3日生まれ」

「ぐっ………」

私の誕生日は12月6日。

まさか少年が約8ヶ月も年上だったなんて。

なんか負けた気分。

うまく言語化できないけど、なんか悔しい………。

「少年が年上だったなんて………そんなまさか………」

私は頭を抱えて言う。

「残念だったな、年下」

「少年〜〜〜〜〜」

「つーか俺のが年上なのに、んで”少年“呼びなんだよ」

「少年は少年じゃん?」

「バカはバカだしな」

「ん? それってもしかしなくても私のこと言ってる?」

「どーだか」

キーンコーンカーンコーン

「あ、予鈴………またね、少年」

私はそそくさと自分の席に戻った。

◇◇◇

授業中。

ふと、少年のほうを横目で盗み見る。

少年は、意外としっかり授業を受けていた。

いや、“意外と”は失礼か。

「ふふっ」

そんなことを考え、笑みがこぼれる。

「……う」「き…う」「きとう」

「鬼頭!!!!!」

「へわぁ⁉」

突然先生に大声で名前を呼ばれ、思わず飛び上がる。

「『へわぁ!?』じゃないんだ、さっきからずっと上の空だぞ‼ 授業に集中しろ!!」

「はぁーい………」

あーあ。怒られてしまった。

少年、どうしてくれるんだい?

私はこっそり、心の中で責任を少年になすりつけた。



まぁ、何はともあれ。

少年の学年とクラス、名前、席………。

いろんなことが分かった。

これでまた、少年に一歩、近づけた。

…………………………

勝負02:自己紹介
作戦名:つきまとい大作戦
勝者:?
敗者:?
親交度:+10