メカニカルな彼らに囲まれています

肩にかけていたスクールバッグをドサッと床に置き、ファスナーを開ける。


「え……なにこれ、ファイル?」

「そう! 綺麗でしょ? グラデーションにしたんだよ〜」

「いや、自慢するとこじゃなくて」


突っ込む実優の隣で、母が呆れたように溜め息をついた。


バッグの中で一際存在感を放つ、黒の通知表。

それとは対照的に、カラフルでポップな印象の教科ファイルたち。


「……先週で全部持って帰ってきたって、言ってなかった?」

「あはは……。まだロッカーに残ってたみたいで」


苦笑いで返すと、「まったくもう……」と再び母の口から溜め息が漏れた。


小学生の頃から、毎年大荷物で修了式を迎えていた私。

今年こそは身軽で帰るぞ! と、授業が終わった教科から持ち帰っていたのだけど……ロッカーの存在をすっかり忘れちゃってて。


ロングホームルームで先生に言われて、急いで開けてみたら、案の定、山積み状態。

しかも数ヶ月間放置しっぱなしだったため、当然ホコリまみれ。

みんなが下校する中、1人で掃除して帰ったというわけだ。