さて、そのころ姫君のお屋敷には、父宮がお迎えにいらっしゃっていた。ところが姫君のお姿がない。いったいどういうことかとお尋ねになるけれど、女房たちは源氏の君からきつく口止めされている。
「乳母が勝手にどこかへお連れしてしまったようでございます」
とだけ申し上げて、なんとかこの場を切り抜けようとした。
宮はひどくがっかりなさる。
「あの乳母か。亡き尼君が私を嫌っておいでだったから、あの者も心の中では私に姫を渡したくないと思っていたのだろう。私の指示に従うようなふりをしながら、出過ぎたまねをするとは」
しかしもはやどうしようもない。泣く泣くお帰りになる。
「見つかったらすぐに知らせよ」
と言い置いていかれたのも、女房たちには心苦しい。
念のため北山の僧都にもお尋ねになったけれど、行方は分からないまま。
<かわいらしい姫であったのに>
と恋しく悲しく思い出される。
宮のご正妻も、姫君の母親を憎む気持ちはもう消えていた。母親代わりになってあげようというおつもりだったのに、あてが外れて残念がっていらっしゃる。
「乳母が勝手にどこかへお連れしてしまったようでございます」
とだけ申し上げて、なんとかこの場を切り抜けようとした。
宮はひどくがっかりなさる。
「あの乳母か。亡き尼君が私を嫌っておいでだったから、あの者も心の中では私に姫を渡したくないと思っていたのだろう。私の指示に従うようなふりをしながら、出過ぎたまねをするとは」
しかしもはやどうしようもない。泣く泣くお帰りになる。
「見つかったらすぐに知らせよ」
と言い置いていかれたのも、女房たちには心苦しい。
念のため北山の僧都にもお尋ねになったけれど、行方は分からないまま。
<かわいらしい姫であったのに>
と恋しく悲しく思い出される。
宮のご正妻も、姫君の母親を憎む気持ちはもう消えていた。母親代わりになってあげようというおつもりだったのに、あてが外れて残念がっていらっしゃる。



