「いや、悪くはない。むしろこの間のように仲の良い様子を周囲に見せつけてくれれば、こちらとしても守護鬼の伴侶を公表するときに反発が少なくなるので助かる」
この間とは琴子とデヱトしたときのことだろう。
あの日の翌日にも成平に呼び出され、『守護鬼と鬼花が共に街にいた。夫婦を名乗り仲良さげであった』と問い合わせがあったと話をされたのだ。
あのときの琴子の友だろうか。少々強引に引き離してしまい後から反省したのだが、周囲に見せつけても良いというならばこれからもデヱトしてみようと朱縁は思った。
(帰ったら、今度は人気のカフェーにでも行かないかと誘ってみるか)
流行りのものを好む琴子ならば、またあの笑顔を見せて頷いてくれるかもしれない。
心躍りそうな気分で紅茶を飲んでいると、家令が「失礼致します」と近付き成平に何事かを耳打ちした。
途端に焦げ茶の目に真剣さが宿る。
その目を朱縁に向け、成平は良くない知らせを朱縁へと告げた。
「朱縁殿、今すぐ帰った方が良い。あなたの屋敷に勝正と桐矢の若君――琴子の元婚約者が向かったそうだ」
***
ガキン、と音を立てて軍刀が止まる。
その刃は琴子の腕にある紅玉の数珠に当てられていた。
「な……」
「……やはり無理か。守護鬼殿にしか外せないと聞いたから切ってしまえば良いかとも思ったが」
鋭い目を数珠に向けたまま、真継は淡々と告げる。
その言葉で呪いのかかった数珠を切ろうとしただけなのは分かったが、何の説明もなく切りつけてくるその無情さに恐怖を感じた。
異性が近くにいるという状況以上に、少しの躊躇いもない真継へ感じる気分の悪さに琴子はその場にへたり込んだ。
この間とは琴子とデヱトしたときのことだろう。
あの日の翌日にも成平に呼び出され、『守護鬼と鬼花が共に街にいた。夫婦を名乗り仲良さげであった』と問い合わせがあったと話をされたのだ。
あのときの琴子の友だろうか。少々強引に引き離してしまい後から反省したのだが、周囲に見せつけても良いというならばこれからもデヱトしてみようと朱縁は思った。
(帰ったら、今度は人気のカフェーにでも行かないかと誘ってみるか)
流行りのものを好む琴子ならば、またあの笑顔を見せて頷いてくれるかもしれない。
心躍りそうな気分で紅茶を飲んでいると、家令が「失礼致します」と近付き成平に何事かを耳打ちした。
途端に焦げ茶の目に真剣さが宿る。
その目を朱縁に向け、成平は良くない知らせを朱縁へと告げた。
「朱縁殿、今すぐ帰った方が良い。あなたの屋敷に勝正と桐矢の若君――琴子の元婚約者が向かったそうだ」
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ガキン、と音を立てて軍刀が止まる。
その刃は琴子の腕にある紅玉の数珠に当てられていた。
「な……」
「……やはり無理か。守護鬼殿にしか外せないと聞いたから切ってしまえば良いかとも思ったが」
鋭い目を数珠に向けたまま、真継は淡々と告げる。
その言葉で呪いのかかった数珠を切ろうとしただけなのは分かったが、何の説明もなく切りつけてくるその無情さに恐怖を感じた。
異性が近くにいるという状況以上に、少しの躊躇いもない真継へ感じる気分の悪さに琴子はその場にへたり込んだ。



